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遺言・相続問題

こんな分割方法もあります

 「りんごが4個とみかんが10個あります。切ったりせずに2人で分けるとすると、どのように分けたらよいのでしょうか」という問題があるとします。
 
 これは、りんご2個ずつ、みかん5個ずつ分けるということは簡単にわかりますよね。
 
 「りんごが3個とみかんが10個あります。切ったりせずに2人で分けるとすると、どのように分けたらよいのでしょうか」という問題があるとします。
 
 「そんなことできません」というのが普通の回答です。
しかし、紛争を解決するのが仕事の法律家が「できません」という回答をしていたのでは、能力を疑われかねません。
 
 まず思いつくのは、それぞれが、りんご1個と、みかん5個ずつ分け、りんご1個を誰かに売って、代金を半分ずつ分けるという方法があります。
 しかし、りんごを買ってくれる人がいないと分けられません。
 
 こういう分け方はどうでしょう。
 まず、じゃんけんで負けた人が、できるだけ平等になるように分けて、じゃんけんで勝った人が、どちらかを選ぶということにします。
 
 じゃんけんで負けた人は、りんご2個+みかん3個、りんご1個+みかん7個、あるいは、りんご2個+ みかん4個と、りんご1個+みかん6個に分けるでしょう。
 じゃんけんで勝った方が、りんご1個が、みかん何個分の値打ちか考えて、あるいは、単純にりんごとみかんのどちらが好きかということで、好きな方を選びます。
 
 もちろん、完全な二等分にはなりませんが、紛争を解決するという意味では、これで十分です。

 法律の話、つまり調停や訴訟と何の関係があるのかと思う人があるでしょうが、共有の土地の分割の場合などは、この分割方法が合理的です。
 
 土地は区画整理でもされていない限り、正方形や長方形ではなく、奥行きの長さが違ったり、でこぼこがあったり不整形なことが普通ですし、間口が狭く奥行きが長い土地ならば、旗ざお状に分割しなければならないことがあります。
 
 また、間口が2分割できるだけ広い正方形や長方形でも、南をとるか北をとるか、隣地がどのように使われているかなどで、単純に真ん中に境界線を引けばよいというわけではありません。
 
 一方が、できるだけ平等になるように境界線を引き、もう一方が、どちらかを選択する。これが、法律家の考える一般的な分割方法です。
 
 もっとも、土地のような高価な財産について、じゃんけんで決めるというのは不正の入る余地があるかもしれませんから、例えば、次回の「ジャンボ宝くじ」の1等の個々の数字を合計すると偶数か奇数かを、じゃんけんで決めるように約束すれば、不正のしようがありません。
 
 また、遺産分割の場合も、この方法が応用できます。
 相続人の一人が住んでいる土地・建物のほかに預貯金・株券などがある場合にも、鑑定費用を節約したい程度の遺産規模であれば、相続人の一人が、どうしても住んでいる土地・建物を取得したいと主張しない限り、片方が分け、もう片方が選ぶという方法での分割が可能です。
 
 また、取得者が、2人ではなく、3人、4人の場合でも、工夫すれば、誰かが公平となるように分けて、他が選択すると言うことが可能な場合もあります。
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