身近な法律問題
保証意思確認
金融機関からの債務が支払えなくなったとします。
債務者である会社、代表者個人が「借りていない」と主張することは希です。
しかし、連帯保証人となっている人は、往々にして「連帯保証していない」として保証意思を否認することがあります。
一般には、債権者が連帯保証をしたことを立証しなければなりません。
実印の場合など、印鑑が連帯保証人とされている人のものであることが認められる場合は、連帯保証人とされている人が、自分は連帯保証などしていないということを立証する必要があります。
連帯保証人になるとき、実印と印鑑証明が要求される理由はここにあります。
争点は、まず、誰が書いたかということです。
連帯保証人とされている人が、住所や氏名を記載しているなら問題にならないはずです。
しかし、結構、筆跡鑑定までして争われることはあります。
自筆でないということになると、借りた人本人と連帯保証人とされている人との関係が問題になります。
借りた人本人と連帯保証人とされている人との関係が、知人、友人なら、借りた人本人が、どのようにして、連帯保証人とされている人の実印や印鑑証明書をもってたのかが問題になります。
通常、他人に、実印や印鑑証明書は渡しませんよね。
連帯保証人とされている人が、他の目的で、実印や印鑑証明書を渡したことを立証できるかどうかが問題になります。
借りた人本人と連帯保証人とされている人との関係が、夫婦や同居の親子なら、実印や印鑑証明書発行のためのカードの保管状況が問題になります。
夫婦や同居の親子なら、勝手に、実印や印鑑証明書を持ち出すことは可能かも知れません。
いずれにせよ、金融機関の方が、ちゃんと、保証意思の確認をしているかどうかがポイントとなります。
普通は、それなりの金額なら、連帯保証人に金融機関に出向いてもらって、免許証などで本人確認をした上で、自筆で住所・氏名を記載させていることが通常です。あるいは、金融機関職員が、連帯保証人の自宅などを訪問して、自筆で住所・氏名を記載させています。
それなりの額の場合、電話による連帯保証の意思確認をしていることは希で、結局は、金融機関職員が、連帯保証人とされている人と会っているかどうかが問題となります。
なお、学生さんや司法修習生、あと弁護士になりたての方と話をしていると、「表見代理が成立するかどうか」を問題にされますが、金融機関が意思確認をしていなければ、金融機関に過失があるとしてほぼ確実に敗訴してしまいますから、金融機関は「表見代理」とは通常主張しないようです。