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身近な法律問題

イカタコウイルス

「イカタコウイルス」をご存知でしょうか。

音楽ファイルを装った「イカタコウイルス」を流し、「イカタコウイルス」に感染すると、

パソコンのデータファイルがイカやタコの画像で書き換えられ使えなくなります。

コンピュータウイルスの作成などは刑法の明文で処罰されるようになります。
平成23年6月17日に法律が成立しました。実施日は平成23年6月26日の段階では

未定です。

(不正指令電磁的記録作成等)
第168条の2 正当な理由がないのに、人の電子計算機における実行の用に供する目的で、

次に掲げる電磁的記録その他の記録を作成し、又は提供した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
一)人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に

  反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録
二)前号に掲げるもののほか、同号の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録
2 正当な理由がないのに、前項第一号に掲げる電磁的記録を人の電子計算機における実行の

  用に供した者も、同項と同様とする。
3 前項の罪の未遂は、罰する。
(不正指令電磁的記録取得等)
第168条の3 正当な理由がないのに、前条第一項の目的で、同項各号に掲げる電磁的記録その他の記録を取得し、又は保管した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

「イカタコウイルス」については、検察官は「被害者は家族写真を見られなくなるなどの損害を被った。ハードディスクは物理的に壊れなくても、特定のデータが使えなくなれば用をなさず、器物損壊に当たる」として、器物損壊罪に問われた被告人に対し、懲役3年を求刑しています。

弁護側は「器物損壊の事実がなく、ハードディスク自体の効用を害していない」として無罪を主張している。弁護側の最終陳述を経て、判決は平成23年7月20日に言渡される予定です。

確かにハードディスクはこわれていません。バックアップがとってあれば、初期化のうえ、ソフトをインストールし直し、ファイルを戻せば終わりです。

ただ、器物損壊罪は、物を物理的に壊さなくても成立します。

大審院(戦前の最高裁判所にほぼ該当)は、明治42年4月16日(刑録15輯452頁)において「料理店の食器に放尿した行為」について、器物損壊罪の適用を認めています。
確かに、食器を入念に消毒すれば再使用はできますが、一度尿のついた食器は、使用不能になるということですね。

裁判自体は、これからです。最終的には最高裁判所まで争われるでしょう。


刑法が、技術の進歩についていけないということがあります。

電気窃盗などがそうですね。

大審院は、電気窃盗の罪が規定されていないときに「電気は可動性と管理可能性を持っている」として、窃盗罪が成立するという判決をしています。

この事件などは、後の刑法学者から、非難を浴びました。

その後、刑法改正にて「窃盗及び強盗の罪については、電気は、財物とみなす」という

立法的解決がなされています。

電柱や隣家から盗電して処罰される人はいます。
ただ「電力強盗」という罪で処罰された人があるということは聞いたことはありません。

西野法律事務所
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