身近な法律問題
ワンクリック詐欺
悪徳サイトにアクセスして、クリックをすると「登録料支払え」とかいうものです。
結論からいいますと、無視して問題ありません。
まず、「IPアドレス」を表記して、「おまえの情報はつかんでいるぞ」という単純なものから説明します。
私のサイトにアクセスすれば、私にはアクセスした「IPアドレス」がわかります。別に
私のサイトでなくても、どのホームページやブログでも同じです。
「IPアドレス」によりわかるのは、登録組織名やホスト名から接続元の場所くらいです。
たいていはプロバイダの名前と地域くらいですが、会社や大学からのアクセスであることわかることがあり、接続元の「住所」(支店かどうか、何学部まかまではわかりません)くらいは
わかることがあります。
だからといって、アクセスした人の「氏名」「住所」「電話番号」などわかるはずもありません。ということで、無視しても何も起こりません。
次に、E-mailアドレスを知られたとします。
これも何もおこりません。
まず、Hotmailなどのフリーメールは「氏名」「住所」「電話番号」などの個人情報を登録する必要はありません。
また、プロバイダーや携帯電話会社などに「氏名」「住所」「電話番号」などの個人情報を登録している場合、「誘拐」「殺人予告」「ストーカー」「掲示板への脅迫・名誉毀損に該当する書込」など刑事事件の場合は、捜査機関が令状をもってきますから、プロバイダーや携帯電話会社などに「氏名」「住所」「電話番号」などの情報を捜査機関に提供するかも知れません。
また、「掲示板への脅迫・名誉毀損に該当する書込」は、弁護士が代理人として、訴訟や保全処分など裁判所を利用して、「氏名」「住所」「電話番号」などの情報を収集することが可能な場合があります。
しかし、恐喝者が、捜査令状を利用したり、弁護士に依頼して裁判所を利用したりすることは
できませんから、たとえE-mailアドレスを知られたりしても、連絡方法はE-mailだけです。
無視すればいいですし、しつこければ、E-mailアドレスを変えればすむことです。
ということで、やはり、無視しても何も起こりません。
次に、携帯電話の番号を知られたとします。
これも何もおこりません。
捜査機関はもちろんのこと、一般の弁護士でも、契約者の住所・氏名を調べることは可能です。
しかし、恐喝者が、捜査令状を利用したり、弁護士を利用したりすることはできませんから、
たとえ携帯電話番号を知られたりしても、連絡方法は携帯電話だけです。
無視したり、着信拒否にすればいいですし、しつこければ、携帯電話をを変えればすむことです。
なお、携帯電話が「どこから」(大体です)かかってきたかはわかる場合があります。これは、住所を知られたわけではありません。
携帯電話からのアクセスについては、 「ワンクリック料金請求にご用心・警視庁」をご覧下さい。ということで、無視しても何も起こりません。
固定電話の場合も、104に登録していなければ、電話番号から住所・氏名はわかりません。
ただ、104に登録していれば、電話番号から住所・氏名はわかります。
これも、着信拒否にすればいいだけですし、手紙などは無視しても大丈夫です。
心配な方は、弁護士に相談してください。
なお、恐喝者は「債権回収業者に債権譲渡する」「期限までに支払いがない場合は裁判所に
提訴する」「自宅や勤務先に内容証明郵便の送付する」「自宅や勤務先に行く」「給与や財産の差し押さえをする」「信用情報機関のブラックリストに登録する」と記載するのが普通です。
しかし、こんなことができるはずがありません。
まず、自宅や勤務先を知りようがありません。
自宅や勤務先がわからなければ行きようがありません。
自宅や勤務先がわからなくては裁判は起こせません(後記・註)。
裁判が起こせなければ、差押さえはできません。
ブラックリストに登録できるのは登録業者だけです。
なお、このような詐欺・恐喝者は、詐欺罪・恐喝罪に該当するでしょうし、組織的に行われた場合は、「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」が適用され、目の玉の飛び出るほど思い処罰をされます。
ちなみに、ウィルス型のワンクリック詐欺(請求書を画面に表示させ続ける)があるようですが、基本的な対処は同じで「無視する」が正解です。除去方法などは、公的機関である 「独立行政法人情報処理推進機構」 に相談してください。
(註)
なお「自宅や勤務先がわからなくては裁判は起こせないという」という点については
「公示送達」という例外があります。
住民票をそのままにして雲隠れした債務者などには、弁護士(離婚・時効中断)や保証協会
(時効中断)などは、公示送達で判決をもらうことがあります。