身近な法律問題
詐欺と債務不履行
「詐欺」は、最初からお金を「返済する意思」も「返済する能力」もないことが完全に証明
できることが前提です。
「返済する意思」か「返済する能力」いずれかが「あった」「可能性」があれば、詐欺には
なりません。単なる、債務不履行です。
実際「詐欺」というケースはあるでしょう。
しかし、それを立証するというのは非常に難しいです。
「非常にお金に困っていた」という事実だけではだめです。
金額にもよりますが、ある程度、夢物語的な楽観的な話でも「出資者がいる」、何とかすれば「親兄弟が助けてくれる」と言われると、それ以上追求するのは、現実的には無理でしょう。
もちろん「詐欺」だといわれた人の生活ぶり、資力にもよります。
無銭飲食をするような人なら、何千円でも十分ですね。
生活ぶりや所持金などを見れば、支払える「あて」があるかどうかすぐわかります。
普通に生活している人なら、「財布を忘れた」でおしまいでしょう。
何十万円程度までなら、本当に「なんとかできる」のが普通でしょう。親戚や友人が全くいない人でもない限り。
100万円や200万円程度でも、何とかできると考えていたと言い訳されたら、「詐欺」と
いうのは難しいでしょうね。
人にもよりますが、金額が数百万円、何千万円となれば、普通、「親戚からの援助」という
言い訳は難しくなります。そんな余裕資金をもっている人は多くありません。
「貸したお金を返してもらえない」=「詐欺」ならば、この世の中は、詐欺の犯人だらけに
なります。
また、200万円、300万円の債務で自己破産をする人たちは、ほとんどすべて「詐欺犯」
ばかりということになります。普通は、客観的に無理でも「何とかなる」と思っていて、結局「何とかならず」弁護士に依頼しにくる人がほとんどです。
今でも、個人的な借入金の債権者は、「詐欺だ」「免責は不許可にしてくれ」といってくる
ことがあります。
もちろん、結局、「貴重なご意見ありがとうございました」と、丁寧ながら「はなから」裁判所に相手にされないだけの話です。