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身近な法律問題

裁判官の説諭

刑事裁判官の「説諭」が話題になっています。

刑事訴訟規則221条には、以下の定めがあります。
「裁判長は、判決の宣告をした後、被告人に対し、その将来について適当な訓戒をすることが

 できる」
 
「説諭」と一般に呼ばれていますが、法律用語としては「訓戒」です。

私自身は、裁判官時代、刑事訴訟の単独事件を担当したことはありませんし、合議体の裁判長をしたことがありませんから、「説諭」の経験はありません。

民事の判決言渡は、事件番号と主文を淡々と読上げ、「事実および理由の朗読は省略します」

と言うだけです。
そもそも、よほどの著名事件でもない限り、当事者が来ていないことがほぼ100%ですから、無駄な手数はかけません。

通常の裁判長や単独裁判官は、実刑なら「刑を償ってください」、執行猶予なら「執行猶予期間中に、再度罪を犯せば、本件の懲役とあわせて服役することになりますから、十分注意してください」、あるいは「この判決でわかりにくかった点は、あとで弁護人から聞いてください」というなど(執行猶予の判決の場合、刑の期間と執行猶予期間の区別が分からなかったり、混同したりする被告人がいます。下手をすると、執行猶予で自由の身になった被告人が、看守に手錠をかけられ拘置所に帰るつもりでいることがあります)、事務的なものだった記憶があります。
少なくとも、私が陪席をしていた時代の裁判長はそうでした。
30年前ですが・・・

あと、月並みなものは「無反省な犯罪者に対する怒り」くらいですかね。
いろいろ「おもしろい」ものもあるようですが、私自身は聞いたことがありません。

ある裁判長の説諭が話題になっています。
「重大な結論となった。裁判所としては、控訴を勧めたい」という、裁判員制度での死刑判決

 の説示です。

判決後に、控訴「することができる」ということを述べるのは、裁判長・単独裁判官の
義務です。

刑事訴訟規則220条には「有罪の判決の宣告をする場合には、被告人に対し、上訴期間及び

上訴申立書を差し出すべき裁判所を告知しなければならない」と定められています。
裁判長や単独裁判官は、例えば「この裁判に対しては、大阪高等裁判所控訴することができます」「その場合、14日以内に、大阪高等裁判所宛の控訴状を当裁判所に提出してください」

と言います。
これは、義務です。

「控訴を勧めたい」などとは言いません。
このまま確定してしまえば、裁判員に、自分は死刑の判決に関わってしまったという、心の傷が残らないような配慮でしょう。

職業裁判官でも、死刑判決の言渡しは嫌でしょう。
ちなみに、私は、最高が無期懲役でした。殺人で15年の刑を終えて、すぐ、殺人を犯した件だったと記憶しています。 ましてや「素人」ですからね。

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