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身近な法律問題

執行猶予

 「執行猶予」という制度があります。

 よく、テレビや新聞などで「被告に懲役2年、執行猶予4年」などと報道されているものです。
 「執行猶予」がつかない場合は「実刑」といいます。刑法に定められている用語ではありません。

 刑法25条には、以下のとおり定められています。
「 1項 次に掲げる者が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間、その執行を猶予することができる。
  ① 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
  ② 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
 2項 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその執行を猶予された者が1年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるときも、前項と同様とする。ただし、次条第1項の規定により保護観察に付せられ、その期間内に更に罪を犯した者については、この限りでない。」


 このことから、死刑や無期懲役には執行猶予がつかないことがわかります。
 また、懲役が3年をこえる場合には執行猶予はつきません。
 例えば「懲役5年」に処せられた時点で、執行猶予はつかないことになります。

 原則として初犯しか執行猶予がつかないことがわかります。
 もっとも、服役を終えてから5年経てば、執行猶予はつく可能性がありますし、執行猶予期間中であっても「情状に特に酌量すべき」「1年以下の懲役」であれば、再度の執行猶予がつくことも、希にありえます。

 刑法27条には、以下のとおり定められています。
「 刑の執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予の期間を経過したときは、刑の言渡しは効力を失う。」

 執行猶予の期間が無事過ぎれば、刑務所に行かなくてすむことになります。

 執行猶予と実刑では「雲泥の差」があります。
 犯罪事実を認め、再犯の恐れのない人にとっては「無罪」と実質的に同様といっても過言ではありません。

 通常、私選の弁護士報酬は、執行猶予がつけば「成功」、成功報酬は、着手金と同額という約定にするのが通常です。

西野法律事務所
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