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身近な法律問題

消費者保護法と格安航空券の解約手数料

消費者契約法9条には以下のとおり定められています。

「 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。 
 1 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの
                当該超える部分」

 つまり、キャンセルをしたときの違約金・手数料は、キャンセルの理由や、時期などに応じ、キャンセルにともない、事業者に生ずべき平均的な損害の額以下でなくてはならず、それを超える、キャンセルをしたときの違約金・手数料は無効という規定です。

 前回、海外行きの航空券についてコラムを書きました。
 純然たる国内線はどうでしょう。

 例えば、日本航空の国内線を考えてみます。
 大阪・札幌の正規運賃は4万3500円です。予定の変更は自由ですし、払戻しも自由(420円の手数料がかかります)です。

 「特割」というディスカウント料金があります。1万6000円から1万7000円という、正規運賃に比べて3分の1近い安値です。
 ただ「払戻の際は『取消日にかかわらず』払戻手数料(420円)および当該運賃に対し約50%相当額の取消手数料を航空券1枚(1区間)ごとに申し受けます」となっています。予約便に、無断不搭乗(ノー・ショウ)しても、出発日の翌日から起算して10日以内なら、同料金です。

 『取消日にかかわらず』『約50%相当額の取消手数料+払戻手数料420円』というのは、取消時期によっては、非常に高い約定です。
 確かに、前日や当日に取消したのでは、本来、購入しようと思っていたが満席であきらめ、例えば全日空の航空券を購入してしまったため、優良顧客を逃がしたということもありえますから、もとの購入金額が正規運賃の3分の1程度ということを考えると、50%+420円の「違約金」は、あながち「購入者に不利」ではありません。

 ただ、2ヶ月前に予約して、予約10日後にキャンセルしたとします。
 常識的に考えて、本来、購入しようと思っていたが満席であきらめ、他社の航空券を購入してしまったため、優良顧客を逃すということは考えにくいです。
 「特割」運賃は、直前に買えないのはもちろんですが、座席数が限られていて、通常、他の顧客が、キャンセルがあるや否や「もうけもの」として、その航空券を買ってしまうということが多いでしょう。
 つまり、航空会社に「損害」がでるということは考えにくいのです。
 また、例え損害がでたとしても、金額は知れています。

 ちなみに、全日空も「旅割」「スーパー旅割」という、同一条件といっていい商品を発売しています。
 つまり、消費者に選択の余地はありません。


 50%+420円の「違約金」が、消費者契約法9条に違反しているとして、裁判をおこす人はいるでしょうか。
 もちろん、費用倒れです。
 受任してくれる弁護士さんもいないでしょうね。


 よほど、予定が変更されることがありえないものでないかぎり(例えば、札幌雪祭り期間中の千歳空港発着の国内線)、「特割」「旅割」「スーパー旅割」などの購入は賢明ではありません。

 民事裁判の口頭弁論期日はどうでしょうか。
 私は絶対買いません。
 結構変更されます。

西野法律事務所
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