2015年~2017年バックナンバー
罪本重カル可クシテ犯ストキ知ラサル者ハ其重キニ従テ処断スルコトヲ得ス
平成29年2月13日、クアラルンプール国際空港の格安航空会社(LCC)専用ターミナで、金正男氏が、毒殺されました。
実行犯とみられる女2人は、ベトナム国籍のドアン・ティ・フオン容疑者(29)とインドネシア国籍のシティ・アイシャ容疑者(25)で、いずれも逮捕されています。
警察の聴取に、犯行の手口や、男との関係を詳細に語っています。
両容疑者は、殺害するつもりはなく、テレビのバラエティー番組の収録と思っていたと供述しています。日本でいうなら「どっきりカメラ」ですね。
もっとも、テレビのバラエティー番組の収録なら、収録のため、カメラ・クルーがどこかに潜んでいたはずですが、潜んでいた様子はありません。
また、テレビのバラエティー番組の収録なら、両容疑者が、一目散に逃げ出すというのも変ですね。
殺意があるかないかによって、刑が違います。というか、本当に、テレビのバラエティー番組の収録のつもりだけなら罪に問えるかどうかも疑問となります。
国が違いますから、どのような罪かはわかりませんが、
「故意」「過失」の問題は、たいてい同じだと思います。
現在の日本の刑法です。
第38条
1項 罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。
2項 重い罪に当たるべき行為をしたのに、行為の時にその重い罪に当たることとなる事実を知らなかった者は、その重い罪によって処断することはできない。
3項 法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。ただし、情状により、その刑を減軽することができる。
1項 罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。
2項 重い罪に当たるべき行為をしたのに、行為の時にその重い罪に当たることとなる事実を知らなかった者は、その重い罪によって処断することはできない。
3項 法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。ただし、情状により、その刑を減軽することができる。
1項で、故意がなければ罰しないということになっていて、2項で、重い罪に当たるべき行為をしたのに、行為の時にその重い罪に当たることとなる事実を知らなかった者は、その重い罪によって処断することはできないとされています。
私が、法律の勉強をしはじめたころの法律は、以下のとおりです。
カタカナですし、句読点もありませんし、濁点もありません。
カタカナですし、句読点もありませんし、濁点もありません。
第38条
1項 罪ヲ犯ス意ナキ行為ハ之ヲ罰セス但法律ニ特別ノ規定アル場合ハ此限ニ在ラス
2項 罪本重カル可クシテ犯ストキ知ラサル者ハ其重キニ従テ処断スルコトヲ得ス
3項 法律ヲ知ラサルヲ以テ罪ヲ犯ス意ナシト為スコトヲ得ス但情状ニ因リ其刑ヲ減軽スルコトヲ得
1項 罪ヲ犯ス意ナキ行為ハ之ヲ罰セス但法律ニ特別ノ規定アル場合ハ此限ニ在ラス
2項 罪本重カル可クシテ犯ストキ知ラサル者ハ其重キニ従テ処断スルコトヲ得ス
3項 法律ヲ知ラサルヲ以テ罪ヲ犯ス意ナシト為スコトヲ得ス但情状ニ因リ其刑ヲ減軽スルコトヲ得
特に、2項の「罪本重カル可クシテ犯ストキ知ラサル者ハ其重キニ従テ処断スルコトヲ得ス」(罪もと重かるべくして、犯すとき知らざる者は、その重きに従いて処断することを得ず)は、わかりにくいですね。
よくあげられてきた例としては、尊属殺人でした。
尊属(父母、祖父母。姻族含む)を殺したが、尊属とは知らずに殺した(例えば、毒入りのまんじゅうを夫を殺すつもりでおいたら、義父が食べて死んでしまったなど)というときは、殺人罪でしか罰せられませんということです。
もっとも、私が大学に入学したのが昭和49年4月1日、昭和48年4月4日に、最高裁判所大法廷で、刑法200条に規定された「尊属殺人」の厳罰規定が、憲法14条(法の下の平等)に反するとして、違憲判決が下されていましたから、例としては使いにくくなっていました。