2015年~2017年バックナンバー
防犯カメラと犯罪抑止力
死体遺棄場所となった駐車場(バッテリー盗難対策として数年前に外壁に設置した防犯カメラだったそうです)の防犯カメラの不審車の特定はできなかったものの、周辺の防犯カメラ映像を集め、前後に通過した車を集中捜査し、銀色の軽ワゴン車が浮上しました。
あと、中学1年生の2人の商店街の防犯カメラの映像は、2名がいつまで元気な姿であったかを特定する資料として、また、銀色の軽ワゴン車が通っているところをとらえていました。
また、女子生徒遺棄の前に、立ち寄ったガソリンスタンドに容疑者が写り、また、容疑者が、犯行時の午前0時過ぎ、ガムテープを購入したコンビニに容疑者が写っていました。
結果は最悪でしたし、また、推定無罪ですので何ともいえませんが、刑事訴訟手続きにおいて大きな力を発揮するでしょう。
防犯カメラは、犯罪捜査に、なくてはならないものとなりました。
また、防犯カメラの威力を見せつけた本事件は、防犯カメラに犯罪抑止力があるということを意味します。
これを見れば、重大犯罪を犯せば、逃げることはできないということがわかります。
なお、犯罪抑止力は、犯罪は完全に抑止する力を意味しません。
仮に、もし犯罪を100%事前防止する力という意味で犯罪抑止力をいうならば、この世に犯罪抑止力となるべきものは存在しません。
刑法など刑罰法規の主要な目的は、犯罪抑止であることに疑いはありません。
刑法など刑罰法規刑があることは、国家により刑罰権を独占し、私刑(リンチ)を防ぐことが1つの効用です。
もう1つの効用は、刑法など刑罰法規刑を犯せば、罰せられるということで、犯罪抑止をするということにあります。
犯罪抑止力とは、犯罪をなくす力ではなく、犯罪を減らす力です。
そして、検挙率が犯罪抑止力を左右します。
捕まらないおそれば少なければ、犯罪抑止力は低くなります。
防犯カメラは、検挙率を上げるさせるという意味において、犯罪抑止力アップに効果があると考えられます。
なお、犯罪抑止力は、誰に対しても、どんな場合でも有効かというとそうではありません。
大阪府寝屋川市の中学1年生の2人の殺人・死体遺棄事件など、捕まることはかまわないという犯人の犯行でしょう。
防犯カメラは、多ければ多いほど、犯罪抑止に役立ちます。
プライバシーの侵害の問題はありますが、重大犯罪でもない限り、片っ端から防犯カメラをチェックするという時間など警察にあるはずもありません。
なお、警察庁は、平成28年1月14日、全国の警察が平成27年に把握した刑法犯件数(認知件数)は109万9048件(前年比9%減)で戦後最少だったと発表しました。
ピークだった平成14年(285万3739件)から約6割減少したとのことです。
いろいろ理由はあるでしょうが、防犯カメラの普及も大きな要素でしょう。
このことは、窃盗犯が減り、自動販売機狙いが1万3244件(平成14年比92%減)、車上狙いが6万5028件(同85%減)、オートバイ盗が3万5485件(同82%減)で、これら街頭犯罪の減少幅が目立っているということから裏付けられます。