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2015年~2017年バックナンバー

日本の戸籍

平成27年12月16日、最高裁判所(大法廷)は、明治時代から続く夫婦別姓を認めない民法の規定について「旧姓の通称使用も行われており憲法に違反しない」という判断を示しました。

 私自身は、国会の裁量の範囲内であると思いますし、どこが憲法違反なのかという考えですが、裁判官15人中5人の反対意見があったということ自体が不思議なくらいです。
 いずれ、変わるかも知れませんが・・

 嫡出でない子の相続分を、嫡出の子の2分の1とする民法の規定を違憲とした最高裁判所平成25年9月4日決定などと違い、弁護士としての仕事に関係はなさそうです。

 そう考えてみると、現在の戸籍は、筆頭者の欄にのみ「氏(姓)」と「名」が記載されていて、各人の欄には「名」のみが記載されています。

 戦後の民法改正前の戸籍には「戸主」という欄があり、「戸主」のみ「氏(姓)」と「名」が記載されていて、その他の人の欄には「名」のみが記載されています。
 夫、妻、長男、長女ら子だけではなく、戸主、祖母、母、弟、叔父、叔父妻、従弟、従妹、妻、長男、長女ら子が一緒に入った戸籍もあります。

 戸籍の記載欄からして、間違いなく夫婦は同姓ですね。
 子も同姓ということになります。
 夫婦の姓が違うと、子の姓はどうなるのかという問題が大きそうです。

 ただ、夫婦が、必ず同じ姓でなければならないという先進国は、日本以外にないようですね。
 そう考えれば、夫婦の姓が同一でなければならないという必然性はなさそうです。
 それにしても、憲法に違反するかどうかの問題かという気がします。


 日本の場合、戸籍制度があるおかげで、相続人を探すのは難しくありません。
 よくできています。

 ある人が死亡して、遺産分割の代理人になるとします。

 遺言がなければ、法定相続人が誰かということの確認をしなければなりません。
 遺言があっても、すべての財産について、誰が相続するということが明記されていなければ(記載漏れがあった場合は)、やはり、法定相続人が誰かということの確認をしなければなりません。

 私自身は、現在、韓国籍・朝鮮籍の方などの相続事件は扱っていません。
 関係者がすべて日本人ということを前提に話をします。

 ときおり、空襲のため、戸籍が滅失ということもありますが、戸籍が保存されていないということは、そこから先を探す必要はない=「不存在」ということになります。

 そのような例外を除き、ほぼ例外なく、被相続人が出生当時から、死亡するまでの戸籍謄本、原戸籍謄本、除籍謄本がとれます。
 また、戸籍の附表には、住所が記載されていますから、完全な相続関係図が書けるとともに、相続人の住所がかわります。

 日本の戸籍制度はよくできていますね。


 ところで、夫婦別姓に戻り、夫婦が、必ず同じ姓でなければならないという先進国は、日本以外にないと記載しましたが、墓はどうするのでしょう。

 私の家は浄土宗ですが、普通よく見るのは、「○○家の墓」「○○家代々の墓」で、例えば「西野家の墓」「西野家代々の墓」です。
 夫婦別姓となったら、別姓を選択した人の墓はどうするのでしょう。

 考えていると夜も眠れない?

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