本文へ移動

雑記帳

雑記帳

軍用機の地上撃破の防ぎ方

 令和7年6月18日、イスラエル軍は、イランの首都テヘランに駐機した戦闘機F14を撃破した瞬間を収めた映像を公開しました。イスラエル軍が公開した動画では、テヘラン空港に駐機したF14をピンポイントで撃破しました。
 航空戦力は意外なほどもろいものですね。

 航空戦力は、戦争において不可欠かつ決定的な要素です。
 すぐれた機動力、強大な火力、戦略的な輸送能力は、陸軍海軍の兵器よりも強力で、戦局を左右する力だといえるでしょう。

 とはいえ、航空戦力は、同時に極めて脆弱な面も持ち合わせています。
 飛行場が敵の先制攻撃を受け、滑走路が破壊されるとともに地上に駐機中の航空機が次々と撃破されることによって、航空戦力が開戦から数時間で瓦解した事例は枚挙にいとまがありません。

 日本においても、対応策を考えるべき課題となっています。
 仮に、日本が有事に巻き込まれた場合、その相手がいかなる国家であれ、開戦と同時に最優先で狙われる目標のひとつに航空基地が含まれているのは間違いないでしょう。
 特に航空自衛隊が保有する戦闘機部隊は、ミサイルによる飽和攻撃を受ければ、離陸の機会すら得られぬまま地上で殲滅されかねません。
 その脆弱性は、日本の防衛における最大級の懸念事項として、かねてより広く認識されてきました。

 この問題に対する古典的かつ有効な対処法のひとつが、コンクリート製のシェルターや堅牢な土塁に囲まれた格納庫です。
 航空機をミサイルの直撃から保護する物理的な防御の要となります。
 現実に、航空自衛隊もシェルターを保有し、一部の機体は常時この中に収容されています。
 しかし、決定的な制約はその「規模」にあります。
 約300機にのぼる航空自衛隊の全戦闘機を掩体内に格納することは、飛行場の敷地面積や構造的制約から、現実的に困難です。
 まとまった数のシェルターが整備されている航空自衛隊の基地は、千歳(北海道)、三沢(青森県)、小松(石川県)ぐらいしかありません。

 こうした状況下において、注目を集めているのが、令和4年2月以降のウクライナ空軍の卓越した戦いぶりです。ロシアによる全面侵攻が始まった当初、世界中の多くの軍事専門家は、ウクライナ空軍が開戦初頭に壊滅することを予測しました。

 ロシア空軍が、その圧倒的な戦力と、各種の長射程ミサイルを使った先制攻撃で、ウクライナの航空基地を封鎖し、地上で殲滅することは「既定路線」と見られていました。
 しかし、その予測はくつがえされました。
 開戦から3年半を経た現在に至っても、ウクライナ空軍は戦力を保持し、なおも作戦行動を継続しています。

 その原動力となったのは、シェルターによる部分的な防護だけではありません。
 ウクライナが採ったのは、航空機を常に「動かす」という柔軟かつ機動的な戦術にあります。
 ウクライナ空軍は、敵の攻撃圏内にある従来の基地に固執せず、航空機を分散・展開させ、臨時の発着場を転々と移動しました。
 数日ごとに拠点を変更することで、敵に正確な位置を把握させず、ミサイル攻撃を空振りさせ続けたのです。まさに、この「分散機動」こそが、ウクライナ空軍が戦線を維持し続ける原動力となっているのは間違いないでしょう。

 この戦略は、日本においても有効に機能します。
 日本列島は、北海道から沖縄に至るまで、東西南北に数千キロメートルにも及ぶ長さを備えています。日本は、離島(沖ノ鳥島、南鳥島は除きます)を含めると、東西約3000キロメートル、南北にも約3000キロメートルの長さがあります。ちなみに、世界で一番細長いといわれる国であるチリは、東西約170キロメートル、南北は全長4300キロメートルですから、日本国土の細長さが容易にわかります。
 ウクライナの場合、ほぼ全土がロシアのミサイル圏内に入っていることを鑑みると、それと比べて日本は有利だともいえます。
 日本には大小100を超える民間空港が点在し、戦闘機や輸送機の離着陸に十分な滑走路を備えている滑走路も少なくありません。これらを臨時飛行場として活用し、戦闘機を分けて展開させることで、敵の攻撃についても分散させ、ウクライナ空軍のように地上撃破のリスクを最小化しつつ、持続的な航空作戦を維持することは十分可能です。
 航空自衛隊もすでに「機動分散運用」の名の下、民間空港における離着陸や、地上部隊の展開訓練を重ねています。
 今後、日本列島の縦深性を最大限に活かしたこの戦術は、防衛戦略の中核として、ますます重要性を増していくことになります。
西野法律事務所
〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満2-6-8堂ビル407号
TEL.06-6314-9480
 FAX.06-6363-6355
 
お気軽にご相談下さい
電話による法律相談は行って
おりません(土日祝日休)
9時~12時 1時~5時30分

Since June 5th. 2007

 
TOPへ戻る