本文へ移動

雑記帳

雑記帳

パレスチナ承認150か国超に

 令和7年9月22日、ニューヨークの国連本部で開かれたパレスチナ和平会議で、フランスのマクロン大統領はパレスチナを正式に国家承認すると表明しました。
 イギリスやカナダも、令和7年9月22日までに承認済みで、パレスチナを国家承認した国は150か国を超えました。

 イギリス、フランス、カナダなどによるパレスチナ承認は連携してイスラエルに圧力をかける狙いがあります。
 ガザ侵攻やヨルダン川西岸の入植地拡大などパレスチナの独立性を侵害するイスラエルに対して、あくまでパレスチナの主権を支持するとの強力なメッセージになると考えられています。

 他方、アメリカ、日本、ドイツ、イタリアは承認を見送り、主要7カ国(G7)の足並みは乱れています。
 アメリカは共和党のトランプ大統領、日本は自民党と公明党の保守政権、ドイツはCDU/CSUとSPDを中心とする穏健保守・左派政権、イタリアはメロー二首相が率いる保守政権です。

 パレスチナは、ファタハが統治するヨルダン西岸、ハマスが統治するガザ地区に分かれています。ファタハとハマスは、いわば敵どおしという関係にあります。
 パレスチナを国家承認するというのは、ファタハが統治するヨルダン西岸を国家承認するという趣旨のようです。

 ヨルダン西岸は、イスラエルによる入植により、どんどんパレスチナ人の居住区域が、次第に奪われています。
 ガザは、イスラエルにより占領され、200万人は、イスラエル軍により殺害されるか、エジプトに逃込むか、いずれかとなるでしょう。
 イスラエルが、ガザ侵攻をやめるとか、ヨルダン西岸への入植を止めることを阻止することは不可能です。アメリカはイスラエルの味方ですし、アメリカ以外の国は、ガザ侵攻を阻止する武力は持っていません。

 日本が、パレスチナを国家承認してもしなくても、結論はわかりきっています。パレスチナ人には本当に気の毒ですが、どうしようもありません。

 日本が、パレスチナを国家承認するのは、日本にとって損でしょうか得でしょうか。

 日本は、イスラエルとパレスチナの問題について、全くクリーンハンドです。
 イギリスのように3枚舌外交をしているわけでもありませんし、フランスのようにイギリスの3枚舌外交に関わり合っているわけではありません。また、ドイツのように、ユダヤ人を虐殺したという負い目もありません。

 日本にとってパレスチナ国家承認は、損はあっても、何の得にもなりません。
 アラブ諸国との関係が好転するとの思惑は甘いと思います。周辺のアラブ諸国は、パレスチナを見放しています。

 ガザに居住するパレスチナ人200万人はエジプトに逃げることになるでしょうが、エジプトには200万人の亡命者を受け入れる力はありません。
 パレスチナを国家承認したイギリスやフランスは、200万人の亡命者の一部を受入れざるを得なくなる可能性があります。日本がパレスチナを国家承認する以上、パレスチナは国家である、国家からの亡命者の一部受け入れろという話が生じる可能性がわずかながらあるかと思います。
 日本がパレスチナを国家承認しなければ、日本に火の粉がかかる心配はありません。日本は、全く関係はありません。
 また、現在のトランプ大統領のもとでのアメリカに、日本に全くといっていいほど関係のないパレスチナ問題で、喧嘩を売ることは賢明ではないでしょう。
 日本としては、ガザ難民について、金を出して人道的援助をすることにとどめるのが得策かと思います。

 ウクライナ支援と、どこが違うのでしょうか。
 ロシアは、主権国家であるウクライナに侵略戦争をしています。ロシアの主権国家への侵略戦争を容認していては、戦後秩序が保たれなくなります。
 ウクライナを表だって支援したからといって、ウクライナ人が日本に難民申請するということは考えられません。他のG7諸国と歩調をあわせても問題はありません。
 かえって、他のG7諸国と歩調をあわせておかなければ、台湾有事の時、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアなどヨーロッパ諸国の助けを求めることは難しいでしょう。
西野法律事務所
〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満2-6-8堂ビル407号
TEL.06-6314-9480
 FAX.06-6363-6355
 
お気軽にご相談下さい
電話による法律相談は行って
おりません(土日祝日休)
9時~12時 1時~5時30分

Since June 5th. 2007

 
TOPへ戻る