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雑記帳

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公益通報めぐる解説書 兵庫県会百条委

 令和6年年12月25日にあった兵庫県議会調査特別委員会(百条委員会)の証人尋問で、片山安孝元副知事が公益通報者保護法の解釈を巡り、片山氏は、元西播磨県民局長が報道機関などに送付した告発文書(令和6年3月に兵庫県警を含めた各所にばらまかれた文書。兵庫県警は、公益通報書として扱っていません)に対する県の対応が適切だったと主張し、その根拠の一つとして「解説 改正公益通報者保護法 第2版」(弘文堂。著者代表・山本隆司東京大学教授=専門は行政法)を引用しています。

 百条委員会には、元県民局長が報道機関などに送った告発文書は公益通報に当たり、県の対応が同法違反である可能性を示唆した。その中で、通報者の不利益な取り扱いを防ぐ公益通報者保護法の規定は「内部通報だけで外部通報に適用されない」「内部通報だけでなく外部通報にも適用される」との両論があるのですが、片山氏は「この解説書には(規定は)外部通報には適用されないと書いてある。どちらが妥当なのか検討してほしい」と主張していました。

 弁護士法人北浜法律事務所東京事務所に勤務し、現在は独立している福永活也弁護士は「 同解説本は、216頁以下で公益通報者保護法の条文解説を記載しており、224頁には明確に「この「必要な体制の整備その他の必要な措置」は、「第三条第一号及び第六条第一号に定める公益通報に」との留保があることから、法11条1項と同様に、公益通報のうち内部公益通報に対応するための体制整備に限定している」と述べています。
 一方、注釈について、法律ではなく、指針の解説として、258頁に記載があるに止まります。これらの記載は矛盾していますが、指針は法律の範囲内で義務を定めることが許されているため、法律が優先されて、内部公益通報にのみ限定されていると記載されていると理解するのが自然です」と述べています。
 齋藤県知事、片山安孝元副知事の主張が正しいということですね。

 なお、執筆者の一人の中野真弁護士は、解説書には「内部通報に限らず3号(外部)通報者に対しても不利益な取り扱い防止等の措置を取る必要がある」と脚注があるとしています。

 判例があるはずもなく、専門家の意見がわかれているということになります。
 訴訟となれば、元西播磨県民局長の遺族が、兵庫県を相手に国家賠償請求訴訟を提起する必要があります。
 ただ、元西播磨県民局長の遺族は、提訴はしないと思います。理由は想像にお任せします。
 もとより、刑事訴訟にはなりえません。
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