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2024年バックナンバー

雑記帳

日本製鉄ポスコと資本関係解消へ

 日本製鉄は、令和6年9月24日、韓国のポスコ・ホールディングスの全株式を売却し、資本関係を解消することを決めました。

 日本と韓国が、昭和40年に国交を正常化した際、日本は植民地支配に関する請求権の問題を解決するため、日本は韓国に、無償供与が3億ドル、有償は2億ドル、無償分だけでも当時の韓国の国家予算に匹敵する巨額の経済協力資金を支払いました。
 そして、その経済協力資金で支援で、その後の韓国経済の急成長を支えました。

 現在のポスコは昭和48年6月に、韓国南東部の浦項で、浦項製鉄所を稼働させました。そして、「漢江の奇跡」と呼ばれる高度経済成長を鋼材の供給で支えました。
 この資金は浦項製鉄所の建設などに使われ、日本側が技術供与を行ないました。

 日本製鉄は新日本製鉄時代の平成10年にポスコが民営化されると、同社と株式を相互に取得することとし、平成12年の戦略的提携開始や、平成18年の追加出資を経て一時はポスコ株式の約5%を保有していました。
 2000年代にはヨーロッパで、当時世界最大のアルセロール・ミッタル(ルクセンブルグ。オランダとルクセンブルグの会社が合併)が発足するなど、鉄鋼業界で合従連衡による規模拡大が進みました。
 新日本製鉄とポスコは、鉄鋼業界が激動の時代を迎える中、半製品の相互供給や技術交流、原料購買などで協力を拡大しました。

 しかし、新日本製鉄はポスコに対し、平成24年に「方向性電磁鋼板」の製造技術を不正に取得したとして、損害賠償の支払いなどを求めた訴訟を提訴しました。
 新日本製鉄によりますと、変圧器などに使う方向性電磁鋼板の技術情報について、ポスコは、新日本製鉄の複数の元社員から不正入手していたということでした。新日本製鉄は不正競争防止法に基づき民事訴訟を東京地裁に起こし、約1000億円の賠償と同鋼板の販売差し止めを求めていました。
 平成27年に、ポスコから300億円の和解金の支払いを受け、両社は日本とアメリカ、韓国で起こしていた訴訟をすべて取下げました。

 平成28年には、新日本製鉄は、資本効率向上を理由にポスコ株の一部を売却しましたが、一部の株式を保有していました。
 この残りの株式もすべて売却するということですね。

 日本製鉄が、ポスコを見放したということを象徴する出来事ですね。
 日本製鉄は、ポスコとは単なる取引相手、採算が合えば取引するが、採算が合わなければ取引をしない関係性になったといえます。たとえ、ポスコが経営危機に陥っても援助はしませんよということでしょう。

 製鉄分野は、高品質でないと、中国の過剰生産の低価格攻勢に敗れてしまいます。
 韓国のポスコは、技術面でも資金面でも日本企業に見放され、単独で生き残りをめざすことになります。


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