2024年バックナンバー
雑記帳
ドイツの経済の先行きは
令和6年9月2日、ドイツの自動車大手フォルクスワーゲンがドイツ国内で工場の閉鎖を検討しているとの方針が報じられました。 実現すれば87年に及ぶフォルクスワーゲンの歴史で初めてのことになります。
フォルクスワーゲン社の最大市場である中国での販売不振が要因ですが、近年は、ドイツの企業も、国外の企業も、投資先としてのドイツを回避する傾向があります。
底流にはドイツ政府のエネルギー政策の失敗があります。
ロシアのウクライナ侵略が本格化した令和4年3月以降、ドイツはロシアからの資源供給が止まりました。
これにより、電気代が跳ね上がったが令和5年4月に、ショルツ政権が、稼働していた最後の原子力発電所3基を予定どおり停止させ、電気代が高止まりしました。
産業界からは原子力発電停止について疑義の声もあったのですが、政治的理想が優先され、脱原子力発電の方針が覆ることはありませんでした。
緑の党の「環境原理主義者」が閣内にいたのでは無理でしょうね。
なお、そうでなくとも、メルケル首相の時代(CDU/CSUとSPDの大連立)から、原子力発電を廃止する方針が定まっていました。
産業界は、愛想を尽かしたと思います。
これまでのドイツは「割安通貨であるユーロ」のほか、関税障壁がない周辺国などの需要、東欧からの安価な労働力に支えられ、生産拠点としての地位を維持できました。
関税障壁がない周辺国などの需要、東欧からの安価な労働力はわかるでしょうが、「割安通貨であるユーロ」についてはわかりにくいかもしれません。
ユーロ加盟27か国(令和6年1月現在)の中には、経済力が強いドイツのような国もありますし、経済力が弱いギリシャのような国も混じっていますから、平均すると通貨であるユーロの価値は低くなり、ドイツにとっては、対ドル、対円など、輸出のライバル国との関係でで有利になります。
また、通貨統合前のドイツの通貨はマルクでしたが、ドイツの他のヨーロッパ諸国への輸出幅が大きくなりますと、ドイツマルクが高くなり、例えば、フランスフランやイタリアリラが安くなります。そうすると、ドイツからの輸出品は高額となり、ドイツからフランスやイタリアへの輸出が減るとともに、フランスやイタリアからの輸出品は安価となり、フランスやイタリアからドイツへの輸出が増えることになります。また、そうなっていました。
通貨が異なれば、通貨高通貨安によって、理論上ではありますが、貿易高が適正水準に近づく仕組みとなっていました。
単一通貨ユーロを導入してしまったのではどうにもなりません。
ドイツからフランスやイタリアへの輸出が増えすぎてしまっても、同一通貨ですから、通貨高通貨安によって、貿易量は左右できません。
しかし、エネルギーコストの上昇などを背景に、この構図が崩れつつあります。
いわゆる産業の空洞化が懸念されているのです。
日本の産業空洞化は、企業が、日本人の賃金の高さに嫌気し、また、人手不足により労働者不足に陥ったため、円高により安くなった海外に工場を建てて、現地の安い労働力で工業製品を製造するなど、生産拠点が海外に移転してしまったことにより生じたとされています。
ドイツでは、労働組合の強さもさることながら、エネルギー政策の失敗が産業の空洞化を招いたことになります。
フォルクスワーゲン社が、ドイツ国内で工場の閉鎖を検討している一方で、中国の生産拠点の投資は続けるとしています。
ドイツ人というのは、極端から極端に走りがちな人たちです。
「環境原理主義者」によって、電力が高騰するのであれば、ドイツに新たな工場を建設しようという気にはならないでしょう。
日本も同じです。
西日本はともかく、東日本の原子力発電は、なかなか再開の道がたちません。
これから、半導体、クラウド、AIなど電力をくう技術がさかんになっていきます。
安定した安価な原子力発電が再開されない状況では、他国からの新規工場の進出はもちろん、他国からの日本への回帰現象も、鈍りがちになることになるでしょう。
フォルクスワーゲン社の最大市場である中国での販売不振が要因ですが、近年は、ドイツの企業も、国外の企業も、投資先としてのドイツを回避する傾向があります。
底流にはドイツ政府のエネルギー政策の失敗があります。
ロシアのウクライナ侵略が本格化した令和4年3月以降、ドイツはロシアからの資源供給が止まりました。
これにより、電気代が跳ね上がったが令和5年4月に、ショルツ政権が、稼働していた最後の原子力発電所3基を予定どおり停止させ、電気代が高止まりしました。
産業界からは原子力発電停止について疑義の声もあったのですが、政治的理想が優先され、脱原子力発電の方針が覆ることはありませんでした。
緑の党の「環境原理主義者」が閣内にいたのでは無理でしょうね。
なお、そうでなくとも、メルケル首相の時代(CDU/CSUとSPDの大連立)から、原子力発電を廃止する方針が定まっていました。
産業界は、愛想を尽かしたと思います。
これまでのドイツは「割安通貨であるユーロ」のほか、関税障壁がない周辺国などの需要、東欧からの安価な労働力に支えられ、生産拠点としての地位を維持できました。
関税障壁がない周辺国などの需要、東欧からの安価な労働力はわかるでしょうが、「割安通貨であるユーロ」についてはわかりにくいかもしれません。
ユーロ加盟27か国(令和6年1月現在)の中には、経済力が強いドイツのような国もありますし、経済力が弱いギリシャのような国も混じっていますから、平均すると通貨であるユーロの価値は低くなり、ドイツにとっては、対ドル、対円など、輸出のライバル国との関係でで有利になります。
また、通貨統合前のドイツの通貨はマルクでしたが、ドイツの他のヨーロッパ諸国への輸出幅が大きくなりますと、ドイツマルクが高くなり、例えば、フランスフランやイタリアリラが安くなります。そうすると、ドイツからの輸出品は高額となり、ドイツからフランスやイタリアへの輸出が減るとともに、フランスやイタリアからの輸出品は安価となり、フランスやイタリアからドイツへの輸出が増えることになります。また、そうなっていました。
通貨が異なれば、通貨高通貨安によって、理論上ではありますが、貿易高が適正水準に近づく仕組みとなっていました。
単一通貨ユーロを導入してしまったのではどうにもなりません。
ドイツからフランスやイタリアへの輸出が増えすぎてしまっても、同一通貨ですから、通貨高通貨安によって、貿易量は左右できません。
しかし、エネルギーコストの上昇などを背景に、この構図が崩れつつあります。
いわゆる産業の空洞化が懸念されているのです。
日本の産業空洞化は、企業が、日本人の賃金の高さに嫌気し、また、人手不足により労働者不足に陥ったため、円高により安くなった海外に工場を建てて、現地の安い労働力で工業製品を製造するなど、生産拠点が海外に移転してしまったことにより生じたとされています。
ドイツでは、労働組合の強さもさることながら、エネルギー政策の失敗が産業の空洞化を招いたことになります。
フォルクスワーゲン社が、ドイツ国内で工場の閉鎖を検討している一方で、中国の生産拠点の投資は続けるとしています。
ドイツ人というのは、極端から極端に走りがちな人たちです。
「環境原理主義者」によって、電力が高騰するのであれば、ドイツに新たな工場を建設しようという気にはならないでしょう。
日本も同じです。
西日本はともかく、東日本の原子力発電は、なかなか再開の道がたちません。
これから、半導体、クラウド、AIなど電力をくう技術がさかんになっていきます。
安定した安価な原子力発電が再開されない状況では、他国からの新規工場の進出はもちろん、他国からの日本への回帰現象も、鈍りがちになることになるでしょう。