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2024年バックナンバー

雑記帳

海上自衛隊護衛艦「さざなみ」がオーストラリアやニュージーランドとともに台湾海峡を初通過

 海上自衛隊の護衛艦「さざなみ」が、令和6年9月25日、自衛隊発足以来、初めて台湾海峡を通過したことがわかりました。
 中国は、令和6年8月の情報収集機による日本領空侵犯などで軍事的な威圧を強めていて、それらの対抗措置として中国をけん制する狙いがあります。
 岸田首相が政府内で検討を進めた結果、護衛艦の派遣を指示しました。

 さざなみは令和6年9月25日午前、東シナ海側から台湾海峡の通過を開始し、十数時間をかけて南方向に向けて航行して同日夜に台湾海峡通過を完了しました。
 これに合わせ、オーストラリアやニュージーランドの海軍艦艇も台湾海峡を通過しました。
 海上自衛隊は、令和6年9月26日から、南シナ海で両国海軍との合同演習を予定しています。

 令和6年8月以降、中国軍は日本周辺での軍事活動を活発化させています。
 令和6年8月26日に情報収集機が長崎県・男女群島沖の領空を侵犯しました。令和6年8月9月18日には、中国海軍の空母「遼寧」が与那国島と西表島の間を通過しました。
 中国軍機の領空侵犯や、中国空母による日本の接続水域の航行が確認されたのはいずれも初めてのことです。

 岸田首相はこのまま何も対応を取らなければ、中国軍の行動がさらにエスカレートする可能性があるとみて、海上自衛隊の護衛艦「さざなみ」の派遣に踏み切りましたた。

 台湾海峡は最も狭い部分でも幅が約130キロ・メートルあります。
 国家の主権が及ぶと国際的に認められている水域は、沿岸の基線から12カイリ(約22キロ・メートル)の領海で、国際社会は、台湾海峡について、どの国の領海にも属さない国際水域だとの立場をとっています。というか、中国が無茶なことをいっているだけで、当たり前のことです。

 ただ、中国は台湾海峡を国際水域と呼ぶことに反対しており、日本の歴代政権はこれまで、中国側の反発を考慮し、海上自衛隊艦艇による台湾海峡の通過を控えてきたという経緯があります。
 これまでも東シナ海に展開する海上保安庁の船が台風接近を避けるため、台湾海峡の公海で待機することはあったが、海峡の通過はありませんでした。
 米国やカナダなどの各国軍艦は「航行の自由」をアピールするため、台湾海峡を定期的に通過しています。
 ドイツのドイツ海軍のフリゲート艦「バーデン・ビュルテンベルク」と補給艦「フランクフルト・アム・マイン」は、令和6年9月、22年ぶりに台湾海峡を通過しました。

 海上自衛隊の護衛艦が台湾海峡の通過に初めて踏み切ったのは、日本の主権を脅かす中国軍の活動に対し、毅然とした態度を示すためです。

 中国の習近平国家主席は、令和9年までに台湾侵攻の準備を整えるように命じているとされ、中国軍の最近の活発な動きはその一環とみる向きもあります。

 日本政府は軍事的緊張を高めるべきではないとして、海上自衛隊艦艇の台湾海峡通過に慎重な立場を取ってきましたが、岸田首相は日本の安全保障環境に危機感を強め、そうした姿勢では平和を守れないと決断しました。

 令和6年9月23日には、北海道・礼文島北方でロシア軍機も領空を侵犯し、航空自衛隊は強い光と熱を発する「フレア」を使用した警告を初めて行ないました。
 中国やロシアが、緊迫度を高めているのは、首相の退陣表明後の「政治空白」を狙い、反応を試しているとの見方もあります。

 今後は中国側の反発が予想され、対抗措置に出てくることも想定されます。
 令和6年9月27日投開票の自民党総裁選で選ばれた新総裁は早速、対中政策のあり方を問われることになります。

 といっても、平成30年9月17日に、当時の安倍首相は、海上自衛隊の潜水艦が、平成15年から南シナ海で訓練を実施していて、平成28年にも平成29年にも訓練を実施していると明らかにしています。
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