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2024年バックナンバー

雑記帳

西成の睡眠導入役などの大量入手と転売のからくり

 日雇い労働者の街として知られる大阪市西成区の「あいりん地区」では、週末の未明になると路上に怪しげな人影が増えるそうです。

 正体は「ヤミ露店」と呼ばれる違法な路上販売です。
 睡眠導入剤や向精神薬など医師の処方が必要な医薬品が不正に売買されています。
 医薬品の多くは、生活保護制度を悪用して「無料」で入手されたものばかりといわれています。

 「マイスリー」「ハルシオン」「サイレース」などの睡眠導入剤や向精神薬が、10錠2000円程度で売られているそうです。
 仕入れ先は、生活保護者で、医療保護を受けている生活保護受給者は、医療費がかかりません。生活保護受給者が、不眠を訴えれば、医師から、睡眠導入剤や向精神薬が処方されるという仕組みのようです。

 生活保護受給者は公的医療保険制度から除外され、大半の受給者の医療費が医療扶助、つまり税金で全額負担されています。
 生活保護事業費のほぼ5割を医療扶助が占めていて、厚生労働省によると、令和2年度の生活保護事業費も約3兆5千億円のうち約1兆8000億円が医療扶助でした。

 生活保護制度を悪用し、入手した医薬品を転売する事件は、過去にも相次いで摘発されています。
 令和4年には、10カ月間で延べ約380回受診し、向精神薬約5万3000錠を窓口負担なしで入手、あいりん地区の露店に転売していた受給者の50代男が逮捕されました。

 厚生労働省によりますと、令和2年度に、1つの傷病で月15回以上受診した生活保護受給者は約1万2000人いて、このうち約2300人が必要以上の受診と判断され、多くの処方薬が転売された疑いがあるとされています。
 このため、厚生労働省では生活保護受給者が処方箋を持参する薬局を可能な限り1か所とし、重複処方の情報を薬局から医療機関に提供するなど制度の適正化を進めていますが、転売の根絶には至っていません。
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