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2024年バックナンバー

雑記帳

選択的夫婦別姓は争点か 国家資格、パスポート「不都合な状態」ほぼ解決済み

 自由民主党総裁選に立候補した小泉進次郎元環境相が、選択的夫婦別姓制度導入を表明したことにより、争点として、選択的夫婦別姓制度がメディアで取扱われ始めました。
 石破茂元幹事長も、選択的夫婦別姓制度に賛成しています。

 選択的夫婦別姓制度は、結婚によっても姓が変わらないことを選択できる制度です。
 ただ、夫婦の姓が異なることになり、子の姓を父母どちらの姓にするかで夫婦間や夫婦の親族間でもめる可能性がありますし、兄弟姉妹で姓が異なるという可能性が出てくるという弊害が生じます。

 結婚前の旧姓(戸籍名)使用の幅広い導入を進めるというアプローチもあります。
 結婚により、夫婦どちらかの戸籍上の姓は変わるものの、姓が変わった夫婦のいずれかが、戸籍上の姓ではなく結婚前の姓を自由に使えるようにして、姓が変わった夫婦の不利益を極力抑えようという方向です。
子の姓を父母どちらの姓にするかの争いは生じ得ませんし、兄弟姉妹の姓が異なるという不便は避けられます。

 結婚前の旧姓(戸籍名)使用の幅広い導入を進めるという方針は、働く女性が増えたことで、婚姻後の職場での旧姓呼称や国家資格、免許証などの旧姓使用を認めるべきという考え方からスタートしました。
 内閣府男女共同参画局が、令和6年6月27日付で出した「各種国家資格、免許等における旧姓使用の現状等について」によりますと、令和6年5月31日現在、320の国家資格、免許などのうち317で資格取得時から旧姓使用ができます。
 残る3資格は「資格取得後に改姓した場合は旧姓使用ができる」となっていて、旧姓使用ができないものはゼロです。
 マイナンバーカード、運転免許証、パスポートもすでに旧姓併記ができるようになっています。パスポートは「旧姓/Former surname」の説明が付記されます。

 夫婦別姓の導入を呼びかけている経団連は、令和6年6月に出した資料には「ビジネスの現場における通称利用の弊害例」をあげています。

1 多くの金融機関では、ビジネスネームで口座をつくることや、クレジットカードを作ることができない
  多くの金融機関では可能です。
  令和4年3月に内閣府と金融庁が金融機関に行った「旧姓による預金口座開設等に係るアンケート」によりますと、銀行の約7割、信用金庫の約6割が、旧姓名義による口座開設と、婚姻などで改姓した場合、既存口座の旧姓名義による取引を認めていると回答しています。
 信用組合は1割超にとどまっていますが、これは「共同センターのシステムが未対応となっていることなどから」という理由です。
2 通称では不動産登記ができない
  令和5年の法務省令改正により、令和6年4月1日から、旧姓が併記でできるようになりました。

3 研究者は論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須であり、キャリアの分断や不利益が生じる
  旧姓での論文執筆はほとんどの研究機関で認められています。特許出願については旧姓併記が可能になりましたが、旧姓のみでの出願はできません。

 まとめますと、以下のとおりです。
 各種国家資格、免許等◎
 論文執筆◎
 マイナンバーカード○
 運転免許証○
 パスポート○
 不動産登記○
 特許出願○
 金融機関△
 (◎は旧姓使用可、○は旧姓併用可、△は一部不可)

 現在の法制が憲法に違反するかどうかについては、最高裁判所では決着がついています。
 平成27年12月16日、夫婦別姓での婚姻届を義務づけている民法第750条の規定は憲法違反であるとして、国に対し、国家賠償を求めた訴訟に対する最高裁大法廷判決がありました。
 最高裁判所は、民法第750条は憲法違反ではないとの判断をしました。

 判決全文

 ただ、この判決は、夫婦同姓の制度が合理性を欠く制度ではないと述べたにとどまり、選択的夫婦別姓制度の導入の是非については、夫婦別姓制度の導入は「司法」の問題ではなく、国会による「立法」で解決すべき問題であると示されたと考えられたといえます。
 また、結論としては「合憲」と判断されましたが、裁判官15人のうち、5人の裁判官から、夫婦同姓は憲法第24条に反するという反対意見が出されています。
 当時、最高裁判所には3人の女性裁判官(岡部喜代子裁判官、櫻井龍子裁判官、鬼丸かおる裁判官。ちなみに、千葉勝美裁判官は男性裁判官です)が関与していますが、3人全員が、反対意見を述べているところが興味深いですね。

 ちなみに、弁護士業界では、旧姓のみならず、通名を用いることに問題はありません。
 結婚して姓が変わった場合、旧姓を使う弁護士が圧倒的に多いですね。もっとも、夫婦が共同で法律事務所をつくる場合、姓を統一する弁護士がいます。
 弁護士名簿には、□□○○(登録名△△○○)と記載されます。
 逆に、弁護士の場合は緩すぎて、占いで変えたのではと疑いたくなるような弁護士もいます。
西野法律事務所
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