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2024年バックナンバー

雑記帳

ローマ字表記70年ぶり見直し

 国が、ローマ字表記のルールを国がおよそ70年ぶりに見直します。
 現行の国の告示は母音と子音を組み合わせる「訓令式」を原則としていますが、駅や交差点の表記など日常生活で見ることはほぼありません。
 定着したのは英語の発音に近い「ヘボン式」です。
 文化庁の有識者会議はヘボン式を軸に新たなルールを議論しています。母音を伸ばす場合など統一的なつづり方を示すのが難しい課題もあります。

 ローマ字のつづりは主に「訓令式」と「ヘボン式」があります。

 訓令式は昭和12年(1937年)の内閣訓令で定められました。
 50音に沿って母音と子音を組み合わせるため、規則性が高く学びやすいとされます。
 ヘボン式は幕末に来日した米国人宣教師のヘボンが考案しました。訓令式と比べ英語の発音に近いとされます。
 ちなみに、ヘボン式ローマ字の創始者であるヘボンの姓は、英語で書くと「Hepburn」 で、女優のオードリー・ヘップバーンと同じスペルです。もちろん姻戚関係はありません。
 なぜ「ヘボン」と呼ばれるかというと、ヘボン自身が、自分の名前を、カタカナで「ヘボン」と書いたからです。そのほうが「Hepburn」に近い発音です。
 メリケン波止場のメリケンも、アメリカン・コーヒーのアメリカンより「American」に近い発音ですが、日本人が、あまり、アルファベットが読めない時代には、耳から入った英語をカタカナで表した一方で、次第に、目から入ったスペルをカタカナ化しているようです。

 また、国は昭和29年(1954年)の内閣告示で、「一般に国語を書き表す場合」は訓令式を用いると定め、ヘボン式は限定的に使うとしました。
 その位置づけは変わらず、学習指導要領も小学3年の国語で内閣告示を踏まえた学習を求めています。

 他方、ヘボン式は身近なつづりとして浸透しました。
 GHQ(連合国軍総司令部)が駅名などの表示に採用しました。
 交差点名や案内標識に広がり、旅券法施行規則はパスポートの氏名を原則ヘボン式で記すと定めています。
 私の名前のパスポートの「西野佳樹」は、「Yoshiki Nishino」となっていて、「Yosiki Nisino」とはなっていません。

 ヘボン式を採用するとしても、解決できない部分もあります。
 その一つが母音を伸ばす「長音」です。
 パスポートの原則表記は「大野」も「小野」も「Ono」となります。
 「^」などの符号を母音の上につける長音の表記は、情報端末への入力に手間がかかる難点があります。
 大谷翔平選手が用いる「Ohtani」のように、聴音を「Oh」で長音を表すケースもありますが、そう書いたところで、実況中継では「オタニサン」になりますから、あまり意味はありません。

 ちなみに、文化庁が、令和6年7月にまとめたローマ字に関する調査ではJR各社と私鉄大手16社の駅名表示はいずれもヘボン式を原則としていました。
 オリンピックなど、国際大会に出場した日本人選手の登録名も、すべてヘボン式だったそうです。
 長音の表記は対応が分かれています。
 JR各社は母音の上に符号をつけて表記していますが、私鉄大手は10社が符号をつけ、6社は符号を用いていませんでした。
 阪急電車の場合、私の自宅の最寄り駅の「甲陽園」は「Koyoen」です。
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