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2024年バックナンバー

雑記帳

消えゆく磁気式乗車券

 令和6年5月29日、JR東日本と東武を含む関東私鉄7社は、磁気式の「普通乗車券(近距離券)」を令和8年度末以降、QRコードを使用した乗車券に置き換えると発表しました。

 QRコード乗車券は、令和2年以降、各地で実証実験が行われてきました。
 QRコード乗車券自体は平成26年に沖縄のゆいレール、平成27年に北九州モノレールが導入済みでした。しかし、大都市部の大手鉄道事業者への拡大には至っていません。
 令和2年3月に阪神が大手私鉄では初となる実証実験を実施して良い結果をおさめると、令和2年3月には近鉄がQRコード乗車券「デジタルきっぷサービス」を開始し、関西大手私鉄が先行する形となりました。

 QRコード乗車券自体は既に実用化していて、技術的なハードルは高くありません。
 しかし、日本での導入が進まない理由は、複雑なネットワークを構成する都市鉄道では、一社単独で磁気乗車券を廃止しても効果が薄いといえます。

 鉄道事業者が磁気乗車券を廃止したい理由は、システムコストの高さにあります。
 切符を投入できる自動改札機は、投入したきっぷをローラーとベルトで向きを整えながら搬送し、磁気情報を読み取って、パンチ穴を開け、印字してから放出します。
 これを1秒足らずで処理する精密機械の集合体なので、価格は1台当たり1000万円前後にもなります。
 また、切符を物理的に搬送する機構は、券詰まりを防ぐため頻繁に点検・整備が必要であり、メンテナンスコストも高くつきます。
 さらに乗車券には、磁気データを記録可能な特殊な用紙が必要で、回収したきっぷも産業廃棄物として処理しなければならなりません。
 近距離利用の9割以上がICカード利用になり、複雑な機械を内蔵しないICカード専用改札機が増えました。
 私の阪急神戸線の大阪梅田・甲陽園は、いまだに磁気の定期券ですが、だんだん、使える自動改札機が減ってきています。

 コロナ禍以降、磁気乗車券利用の多くを占めていた回数券の廃止が進みましたが、自動券売機で切符を買うという人はいるでしょうし、磁気乗車券がわずかでも残る限り、それに対応した券売機や自動改札機は廃止できません。
 そこでコストが安く、券売機で購入して自動改札機にかざすという、これまでの鉄道利用スタイルに近いQRコード乗車券の利用に統一しようという方向がとられたわけです。

 不正対策は、どうなっているのでしょうか。
 紙に印刷されたQRコードは容易にコピーができます。
 先ほど記載した ゆいレールは、QRコードの上に特殊インクを塗布するコピー対策を行っているそうです。センターサーバーで不正利用をチェックすることは可能ということですね。
 今年、チェコの美術館に行ったとき、2日入場券を購入しました。
 QRコードやバーコードつきの紙の入館証が発行され、朝1度入館し、昼ご飯を食べて再入館をしようとすると音が鳴って、係員に呼び止められて、本物の切符かどうか確認され、本物とわかったので入れてもらえたという経験をしました。本来なら、駄目なようです。やさしい、館員でした。
 このことは、1度入館したことが記録されていることを意味します。
 切符の場合、オリジナル、コピーいずれにせよ、1回だけしか使えないことになります。2回目はキセルですね。また、スマートフォンでQRコードを示す場合でも、スクリーンショットをとって複数回入場しようとしても、1回の入場でアウトになります。

 回数券の廃止は、磁気の切符廃止という事情があったのかも知れません。
 ただ、身体障害者用、知的障害者用および通信制学校用等の割引普通回数券は発売をしているそうですが、いずれ、1回乗車券とともに、QRコードにわかわるのでしょうね。
西野法律事務所
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