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2024年バックナンバー

雑記帳

弁護士34人から8700万円詐取容疑、税理士逮捕 東京地検特捜部

 東京地検特捜部は、令和6年6月5日、税理士の笹沢知夫容疑者を共済金の掛金名目で弁護士34人から計約8700万円をだまし取ったとして、詐欺容疑で逮捕したと発表しました。

 笹沢容疑者は令和4年4月から11月にかけて、税務顧問契約を結んでいた法律事務所に所属する34人の弁護士に対し、共済の掛け金として使うなどのうその内容を書いたメールを送信し、34人の弁護士から計約8700万円を自身の預金口座に振り込ませ、だまし取った疑いがあるとのことです。

 弁護士34人で8700万円ですから1人あたり平均約256万円、令和4年4月から11月にかけてですから合計8か月です。

 弁護士のかける共済にはどのようなものがあるのでしょう。

 まず、小規模企業共済があります。私も加入しています。
 退職金のない自営業者である弁護士の退職金代わりの制度です。
 月額7万円まで、1年分一括で84万円までを納付することもできます。
 課税される所得から控除されますから、結構有利な共済です。
 被疑者が、騙しとった8か月で計算すると、最高56万円となります。

 中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)があります。
 売掛先が倒産した場合に、有利な条件で貸付を受けられ、連鎖倒産を防止できるという共済で、本来、弁護士には、あまり関係がありません。
 もっとも、過払いバブルのころ、全額(月額20万円まで。限度額800万円)損金で落ちるということで、利用していた弁護士さんがいるということを聞いたことがあります。
 いくら税金で有利だからといって、弁護士に連鎖倒産はないでしょう。もちろん、私は、加入したことはありません。
 被疑者が、騙しとった8か月で計算すると、最高160万円となります。

 あと、中小企業退職金共済制度(中退共)があります。私も加入しています。
 事務員の退職金のための共済で、限度額は知りませんが、私も、かけ続けています。当然の話ながら、全額が損金です。
 ただ、34人の弁護士各個人が、事務員の退職金に1人ずつ共済金を納付するというのも不思議なことです。
 被疑者が、中小企業退職金共済制度名目で騙し取ったことは考えにくいです。

 共済と名前は違いますが、国民年金基金も共済と呼ばれることがあります。私もかけていました。
 月額7万円まで、月額6万8000円まで納付することもできます。
 課税される所得から控除されますから、結構有利な共済です。
 被疑者が、騙し取った8か月で計算すると、最高54万4000円となります。

 先ほど述べたように、弁護士34人で8700万円ですから1人あたり平均約256万円、令和4年4月から11月にかけてですから8か月です。フルに騙されたとしたら、計算はかろうじてあいます。

 しかし、中小企業倒産防止共済制度と中小企業退職金共済制度は、常識的にいって考えにくいですね。
 小規模企業共済と国民年金基金は、かける弁護士は、税理士に新たにかけるから振り込んでほしいと言われなくても、とっくの昔に、かけているでしょう。
 また、これらは、銀行の普通あるいは当座預金口座引落としにするもので、税理士の個人口座に振込むということは考えにくいというか、考えられないといった方が正確でしょう。

 弁護士34人が、そろいもそろって騙されるというのも考えにくいですね。大手のMHMと報じているメディアもありますが、真偽のほどは分かりません。

 何か、私が知らない共済があるのでしょうか。
西野法律事務所
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