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2024年バックナンバー

雑記帳

インターネットバンキング不正送金、利用者の不注意で補償減額も

 インターネット口座から勝手に預金が送り出される不正送金被害は、令和5年上半期に約30億円に上り、過去最悪のペースで推移しています。
 被害の多くは金融機関により補償されるのが建前ですが、利用者に落ち度があれば減額される場合もあります。

 手口は銀行などを装ったメールやSMSから偽サイトへ誘導し、IDやパスワードを盗む「フィッシング」というのが従来の方法でした。
 パソコンに偽の警告を表示させ、遠隔操作ソフトをインストールさせるなど、手法の多様化も進んでいます。

 不正送金被害を防ぐためにはIDやパスワードを盗み取られないよう注意が必要です。
 警察庁は「メールやSMSでIDやパスワードを問い合わせることはない」として、心当たりのないSMSなどは安易に開かず、金融機関が提供する公式アプリを使うよう呼びかけています。

 昨今の偽メールや偽サイトは精巧で、注意を払っていても被害に遭う恐れはあります。
 不正送金の被害を申告すれば、金融機関によって補償されるが、全てのケースが救済されるわけではありません。

 預金者保護法はキャッシュカードの偽造や盗難被害などの補償のあり方について定めています。ただし、ネットバンキングは適用されないため、全国銀行協会は、平成20年に、利用者に過失がなければ全額を補償する方針を申合わせました。
 それでも、金融庁が令和元年から令和4年度の金融機関の対応を調べたところ、不正送金被害の8.2%は全く補償の対象になっていません。
 多くは利用者側に過失があったと判断されたとみられます。

 全銀協は、利用者側に過失があり補償が減額される例として、銀行が複数回にわたって具体的に注意喚起した手口でIDやパスワードを入力してしまった、警察や銀行をかたる者に安易にIDやパスワードを答えたなどを挙げています。
 ただこれらは業界の統一的な基準ではなく、補償を減額する判断は各金融機関に委ねられています。
 不正送金の手口は様々で、金融機関が講じるセキュリティー対策もそれぞれ異なるためです。

 補償基準をホームページで公開している金融機関もあります。
 銀行によっては「パソコンの基本ソフト(OS)やウイルス対策ソフトを最新のものにする」といった条件を示すものもあります。

 補償を減額された被害者が納得できず、金融機関側と民事紛争となるケースもあります。
 全銀協の担当者は「被害を受けた場合の補償を受けられるようにするためにも、まずはウイルス対策など被害の未然防止を徹底することが欠かせない」と述べています。
 利用する金融機関の補償基準をあらかじめ確認しておくことも重要です。
西野法律事務所
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