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2024年バックナンバー

雑記帳

修習資金貸与者の氏名流出 最高裁判所 メール入力誤り

 最高裁判所は、令和6年6月3日、司法修習資金を貸与している元修習生900人に対し、住所変更がある場合に届け出るようメールで連絡した際、宛先を伏せる「Bcc」を使わず送ったため、貸与者間でそれぞれの個人名やメールアドレスが確認できる状況になったと明らかにしました。

 メールは、令和6年6月3日に2回に分けて各450人に宛て送信されたそうです。
 メールを受信した元修習生からの指摘で判明しました。

 最高裁判所は、同日、元修習生らに謝罪し、メールの削除を依頼しました。
 最高裁判所の経理局長は「できる限り速やかに原因を分析した上で、再発防止策を検討していく」とコメントしています。

 「Bcc」ではなく、宛先にメールアドレスを羅列したり、「cc」で送付したりというミスは、よくあるようです。
 ただ、まさか本文に全員の氏名は記載されていないでしょうから(記載されていたら「Bcc」でなくともアウトです)、メールアドレスだけでしょう。メールアドレスには、個人名(姓、姓+名、姓+名のイニシャル)が入っているものも多いでしょうし、元修習生宛ということですから、名簿に照らしあわせれば、特定できる可能性が高いですね。
 不特定多数の人間が分かるようなミスをしたということではなく、元修習生だけが知ったことになるかと思います。

 毎日どこかで起きてるミスで、それが重要かどうかだけの違いですね。
 よく聞くのは、会社の定期検診の際に、念のため再検査を受けるようにとの連絡に「Bcc」にしなかったために、再検査対象者全員に知れ渡ったという報告です。

 借金を背負っているということがわかるのですから、ミスがないように、電子メールではなく、手紙にすればよかったように思います。手紙にしておけば、転居先不明で返って来なかった元修習生には、手紙が届いているわけですから(住所が変わっていない、あるいは、転居を郵便局に届け出ている)、転居先不明で返ってきた宛先の元修習生にメールなどで個別に連絡すればよかったでしょう。

 裁判所も、弁護士相手に、偉そうなことが言いにくくなったという点では、よかったかも知れません。

 ちなみに、貸与制になったのは、司法修習生が多くなりすぎで、国(財務省)が給与を出し渋るようになったため、平成22年11月から貸与制になり(新65期から新70期)、平成23年から司法修習給付金制度(新71期から)となり、月額13万5000円の基本給府と月額3万5000円の住居給付制度になりました。

 ちなみに、貸与制になる前の司法修習生の給与(新64期)は以下のとおりでした。大都市調整手当は、修習地によって異なります。上級職公務員の3年目の給与に該当する給与だったそうです。
給与月額(月額)20万2900円
期末手当(年額)約50万円
勤勉手当(年額)約24万円
住居手当 家賃の約半額(上限あり)
通勤手当 交通費実費(上限あり)
 そこから、いきなり0ですから、すごい話です。

 ちなみに、私のとき(32期)は、給与月額10万8600円、期末・勤勉手当合計4.9か月分、これらに大都市調整手当(東京・大阪等は8%。給与年額+期末・勤勉手当の合計の8%)が加わり、さらに、住居手当と通勤手当がでました。
 私の時貸与制なら、医学部に6年いったつもりで、親が生活費を出してくれていたでしょうか。
 出してくれていたと思います。

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