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2023年バックナンバー

雑記帳

日本、ステンレス紛争で勝訴 WTOが中国に是正勧告

 経済産業省は、日本製ステンレス製品に対する中国のアンチ・ダンピング措置をめぐる紛争について、世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会が日本の主張を認め、中国に対し是正を勧告したことを公表しました。
 発表から60日以内に開催されるWTO紛争解決機関で採択される見込みです。
 採択されると中国は勧告に沿って是正する義務を負います。
 日本は中国に措置の撤廃を求めていきます。

 中国は日本、韓国、インドネシア、EUから輸入されるステンレス製品のダンピングによって国内産業が損害を受けていると主張し、平成29年からアンチダンピング税を課しました。
 令和3年、日本の要請でWTOにパネルが設置され審理が行われていた。
 日本は中国の認定や調査手続きに瑕疵があり、GATT(関税および貿易に関する一般協定)やアンチダンピング協定に違反するとして措置の撤廃を求めていた。

 令和5年6月19日にパネルが公表した最終報告書によりますと、中国による損害・因果関係の認定、手続きの透明性に問題があり、アンチダンピング協定に整合しないとし、中国に対し是正を勧告しました。
 簡単にいうと、ダンピングにより国内価格が押し下げられたとする中国の認定が、客観的な分析に基づくものではないとして日本の主張を認めました。
 また、原料となるニッケル価格上昇を十分考慮していないといった日本の主張も認めました。

 アンチダンピング税の対象製品はステンレススラブ、ステンレス熱延コイル、ステンレス熱延鋼板です。
 スラブは半製品で、熱延コイルは自動車部品や家電に、熱延鋼板は船舶、橋梁、産業用機械に使われます。
 それぞれ形状や用途、顧客、価格帯が異なりますが、「中国は製品の違いを無視して合算し、算出した平均価格を基に、国内が影響を受けているという無意味な認定をしていると日本は主張してきました。

 中国によるアンチダンピング税は日本冶金工業、日鉄ステンレス、JFEスチール、大同特殊鋼が影響を受けていて、経済産業省では、国内業界の売り上げ減が年約56億円になると推定しています。


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