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2023年バックナンバー

雑記帳

台湾有事と八重山諸島

 沖縄県の与那国島は、日本の領土のもっとも西の端に位置します。
 晴れた日には、そこからわずか110キロほど離れた台湾を肉眼で見ることができる。中国が台湾に軍事侵攻すれば、与那国島をはじめ先島諸島が戦域に入って、日本が巻き込まれる可能性が高いことは、すでに日本国民の多くが知るところだ。

 令和4年8月に米国のペロシ下院議長の訪台に抗議して、中国軍が実施した大規模な軍事演習では、与那国島から80キロの海域にミサイルを落下させています。
 島の南方のEEZにも5発が撃ち込まれました。

 中国が台湾に武力攻撃をすれば、間違いなく「巻き込まれ」ます。
 中国は、地形的に見て、台湾の西の方から攻撃するより、東から攻撃した方が攻撃しやすいですし、台湾を海上封鎖するのなら、八重山諸島が例外になるはずがありません。

 八重山諸島の与那国島は、実は台湾との歴史的関係も深いといえます。

 第二次世界大戦前は、沖縄県の八重山諸島と日本が統治していた台湾は、今考えるより密接でした。

 終戦まで日本の統治下にあった台湾では、日本の本土から軍人や軍閥、それに財界関係者など、有力者が多くやってきて、それなりの屋敷を構えて暮らしました。
 そこに女中や奉公人として働きに出ていたのが、八重山諸島の人たちでした。
 船ですぐに渡れる距離にあったこともあり、丁寧な標準語を身につけました。

 現在の台湾では、高齢者の中に最近の若者の礼儀や態度に不満を持つ者も少なくなく、まだ日本の統治時代のほうがよかったと愚痴る声があります。

 台湾有事となれば与那国はどうなってしまうのでしょうか。
 与那国島で、有事に備えた初めての避難訓練が実施されたのは、令和4年11月30日のことでした。

 公民館近くでの祭事中に、某国が弾道ミサイルを発射したと想定した訓練です。
 「ミサイル警報です! 建物の中に避難してください」と、防災無線のサイレンが鳴る。建物内では爆風を避けるため窓から離れた廊下や倉庫にしゃがみ、両手で頭をおさえて身を守る。

 八重山諸島は、与那国島は、地政学的にも歴史的にも、台湾とは縁故が深いのですが、
中国の軍事的脅威が現実のものとなっています。

 令和4年12月16日に閣議決定した防衛3文書には、与那国島を含む南西諸島の防衛強化も明記されました。
 中国の対外姿勢や軍事動向を「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と記して、深刻な懸念事項としました。


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