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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

損害賠償や保険と焼け太り

 日本の損害賠償請求事件においては、事故にあった被害者が、自分の受けた実損害よりも多く損害賠償を得ることはできません。アメリカのような懲罰的損害賠償制度は日本で採用されていません。

 なお、遅延損害金などは加算されますが、元金は損害と等しいかそれ以下です。

 火災保険や自動車保険も、自分の受けた実損害よりも多く損害賠償を得ることはできない契約になっています。

「たくさん入って多い目にもらう」というモラルリスクを生じさせないためです。

 ちなみに、保険といっても、生命保険は別です。生命に値段はつけられません。

 自動車の物損を考えてみます。
 たとえ、新車の納車当日に当てられたからといって、新車をよこせとはいえません。
 基本的に、修理代だけです。
 損傷が大きければ、評価損ということで(中古車に出すとき事故車として減価されますから)、賠償額がプラスされます。
 自動車の時価よりも修理費が高くついた場合には、全損といって、自動車の時価しか賠償はもらえません。

 同じような中古車を購入しようとすれば、間違いなく足がでます。

 ときどき、新車に傷が付いたのであるから慰謝料を払えという方がおられますが、物損で慰謝料は認められません。なお、イヌネコなどのペットも、法律上は「物」扱いですが、慰謝料は認められる場合があります。

 なお、私自身は、司法修習中に、ある先輩から「実務では、損害賠償での『焼け太り』は許さないとでも考えておけば、腹も立たない」と教えられました。

 実感としてそうですね。
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