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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

「隠れ失業者」助成金ぎれで顕在化するか

 政府は令和3年2月12日、雇用調整助成金の特例措置を、感染が拡大している地域や経営が厳しい企業に限り、令和3年6月末まで、延長することを決めました。

 雇用調整助成金で手厚い特例措置が設けられたため、休業者が失業せずに済んでいます。
 本来なら、非正規社員が、解雇や雇い止めされていても不思議でないところ、国からの潤沢な補助金のおかげで、休業していても、解雇や雇い止めされずに、給料がもらえています。

 コロナ禍にもかかわらず日本の失業率が低く抑えられている基本的な理由は、雇用調整助成金です。

 コロナ禍にもかかわらず、日本の失業率は上昇せず、令和2年12月の段階で2.9%にとどまっています。
 リーマンショック時の平成21年7月、失業率が5.5%まで悪化したのと、大きな違いです。

 リーマンショックの際の雇用調整助成金の支給金額は6536億円でした。
 今回のコロナ禍では、令和3年1月末の段階で、支給決定額は2兆7658億円に上ります。すでに4倍以上です。

 リーマンショックの際、休業中の従業員に対して休業手当を支払った場合の助成率は従来、80%程度でした。
 それが、コロナ対策の特例措置として、中小企業についてはほぼ100%に引き上げられました。

 また、1人1日当たりの助成金の上限額も8370円から1万5000円に上がりました。さらに、パートやアルバイトなど短時間労働者も対象にしました。

 特例によって支給額がほぼ2倍になり、休業者に対して極めて手厚い保護が与えられたことになります。

 雇用側としては、あえて解雇せずに雇用調整助成金を申請するほうに傾きます。
 また、従業員の立場から見ても、失業手当(離職前の給与の5〜8割)よりは多額の金額を受取れます。
 休業者のほとんどが雇用助成金で支えられているというのが現状です。

 雇用調整助成金は、一時的な措置だとされ、当初は令和2年の6月末までとされていました。しかし、その後、令和2年9月末まで延長になり、さらに令和2年12月末までに延長されました。そして、令和3年2月末になり、3月末になり、さらに4月末にまで延長されました。

 コロナ禍前には、財源である雇用安定資金の残高が1.5兆円ありました。
 しかし、特定措置によって申請数と支給額が想定以上に増加したため、資金は底をつきました。
 そこで財政資金を投入することとなり、令和2年6月の2次補正で1.6兆円を、3次補正で1.4兆円を投入しました。

 こうした中で特例措置をやめれば、休業者が解雇される可能性が高いといえます。

 減少率がとくに著しいのは、零細製造業、零細宿泊業、飲食業、生活サービス業、零細娯楽業です。

 今は、コロナ禍で、それどころではありません。
 コロナ禍が下火になると、休業者の解雇による失業率の増加が社会問題になるでしょう。
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