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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

交通事故の物損をめぐる裁判の増加

 交通事故の賠償金をめぐる裁判が増え続けています。

 平成12年以降、損害保険各社が自動車保険などの特約で扱うようになった「弁護士保険」の影響です。

 全国の交通事故件数は平成29年は47万2165件と驚くほど減っています。

 古い統計しかありませんが、全国の簡易裁判所に起こされた交通事故の損害賠償訴訟は、平成15年の3252件から、平成25年は1万5428件と4.7倍になっています。

 交通事故被害者の権利保護のため、日本弁護士連合会と損保会社が協力し、開発されたものです。
 被害者が加害者側との交渉や訴訟を弁護士に依頼した場合、保険金から弁護士費用が支払われる仕組みです。

 保険料は年間1000円から2000円前後、弁護士費用として支払われる保険金の上限は300万円が上限です。
 日弁連リーガル・アクセス・センター(LAC。通称「ラック」)と提携している会社が大半で、提携していないのは東京海上日動火災保険と関連保険会社だけです。

 裁判の増加について「加害者側の対応に不満がある被害者の泣き寝入りが減った」と評価されています。

 これまで、国産車どおしの物損は訴訟になりませんでした。
 着手金の最低が10万円と決まっているためですし、そうでなくても、弁護士の割に合いませんでしたが、タイムチャージで時給1時間1万円~2万円、最高60万円までなら割に合います。

 簡易裁判所(140万円まで)で、双方に弁護士がついて訴訟をするという風景も珍しくありません。

 また、5~6か月程度通院し、後遺障害のない人身事故の場合も、簡易裁判所(140万円まで)の管轄となり、弁護士の割に合いませんでした。
 タイムチャージで時給1時間1万円~2万円、最高60万円までなら割に合います。

 さらに、14級の後遺障害(むち打ちなど)は、慰謝料が110万円ですから、一応、地方裁判所の訴訟にはなるのですが、弁護士賠償特約がないと、被害者の「実入り」が相当減ってしまいます。

 なお、弁護士特約を使っても、保険料の等級はかわりません。
 人身事故の場合、示保険会社の談交渉の提案が低いものですから(通院慰謝料をごまかしています)、まず、裁判での金額は上がります。
 あまり、判決まではいかず、和解で終了します。

 ちなみに、弁護士業界が不況ですから「ずる」をする弁護士も多いようです。
 時間給など、どれだけ時間がかかったかなどわかりません。

 大手損保会社の担当者は「弁護士から請求された報酬額が高すぎ、支払いを拒否する事案も少なくない」と認め、損保側に請求された報酬額をめぐり民事訴訟に発展する例もあるそうです。
 ちなみに、報酬が300万円までなら、依頼する側としては、知ったことではありません。

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