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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

コロナ対策と世代間の対立

年金では世代間の対立があるといわれます。

 リタイアした世代は、自分が生きているうちに多くの年金を取得するために、現役世代の社会保険料を上げて、自分たちの年金として支給せよと主張します。
 現役世代は、ただでさえ、自分たちがリタイアしたときは、年金が本当に受け取れるかどうかもわからないのに、社会保険料を取過ぎだ、リタイアした世代に支給する年金額を減らして、社会保険料を減額せよと主張します。

 新型コロナウィルス禍のワクチン接種により、令和2年末にて65歳以上の高齢者が3617万人、総人口に占める割合は28.7%ということが、はからずして世間一般に知られました。
 医療従事者に続き、65歳以上の高齢者にファイザー社のワクチンを優先的に接種するということになったからです。

 高齢者は数が多いだけでなく投票率も高いのに対し、現役世代、とりわけ若者は、数が少ない上に(18歳未満は投票権がありません)、投票率が低いですから、政治家は、どうしても高齢者にこびる政策をとりがちになります。

 新型コロナウイルスウィルスも、年金と同じような世代間の対立があります。

 新型コロナによる日本の死者は累計で9279人(令和3年4月7日現在)です。
 ちなみに、令和2年に死亡した人は138万人です。わずか0.67%ですね。

 年代別の内訳をみますと、80歳以上が57%、70歳代が20%、60歳代が7%です。死者の約84%が60歳以上で、80歳以上だけで全体の約77%になります。

 若年者をみると、10歳以下はゼロ、20代は1桁、30代は20人弱、40代は約70人、50代は200人弱人です。

 基礎的な体力や免疫力が衰え、病弱な人が多い高齢者に死者は集中し、若い人は死にません。

 働き盛りの若い現役世代、学生、子供は、社会活動するから感染しやすく、全体の8割を占めるのに、死者は極めて少ないのに対し、70歳以上の高齢世代は感染者が少ないのに、死者は8割に達します。

 緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置が出されたり、終了したりしていますが(蔓延防止等重点措置は、はじまったばかりで終了した事例はありません)、誰も言わないのが「現役世代が高齢者の犠牲になっている」ことです。

 年金生活をしている高齢者は、緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置を出してくれる方がありがたいですね。
 経済がめちゃくちゃになって、失業者があふれても自分たちには関係ありません。
 自分たちの蓄えや年金は減りません。蓄えや年金で生活していけます。

 若い人は、経済がめちゃくちゃになると大変です。
 新型コロナウィルスにより失職した人は多いでしょう。
 そうでなくても、残業代やボーナスは減ります。

 現役世代は新型コロナウィルスに罹患しても、無症か軽症ですみ、風邪かインフルエンザ程度の話にすぎませんから、極限すれば、緊急事態宣言とか蔓延防止等重点措置による営業や移動の自粛の要請は、死者が多くなる高齢者のための対策を重視しているということになります。

 政治家は、選挙で当選するためには、緊急事態宣言とか蔓延防止等重点措置で、高齢者のご機嫌をとらなければなりません。
 どうしても、安易に、緊急事態宣言とか蔓延防止等重点措置を出しがちになります。

 医師は、病人ができるだけ出ないようにすること、病気が重くなったり死ぬことがないようにするのが使命です。
 また、医師も、新型コロナウィルスで、自分が罹患する危険がありますし、病院や診療所でクラスターが発生すると大変です。
 あまり大きな声ではいえませんが、病院、診療所は、結構、高齢者の濃厚治療で収益を上げていることが多いですから、高齢者の死亡が多すぎることは好ましくないと思っている医師もいないとは限りません。
 医師にとって、緊急事態宣言とか蔓延防止等重点措置はありがたいですね。

 政治家は、医師の資格を持っている人はごく少数で、医学知識はあまりありませんし、医師会の票は魅力です。
 どうしても、安易に、緊急事態宣言とか蔓延防止等重点措置を出しがちになります。


 ということは、「現役世代の負担によって、高齢者が支えられている」という年金問題と同じことで、新型コロナウィルス対策で企業が倒産、営業自粛で現役世代は職場を失い、収入も減るということ、つまり「現役世代の損害によって、高齢者がささえられているという」になってしまいます。

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