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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

コロナ禍でも「超過死亡」なし

 新型コロナウイルス対策で初の緊急事態宣言からまもなく1年経過します。

 日本では「超過死亡」がでるどころか、逆に、死亡者数が減りました。

 厚生労働省は、毎年、10月までの人口動態統計の速報などから毎年12月下旬に年間推計を公表しています。

 今年は「例年と動向が異なる」として推計を見送りました。

 同統計の速報値によると、令和2年1月から10月の死亡数は全国で113万2904人で、前年同期は114万7219人で、1万4315人(1.2%)少なくなっています。
 令和2年は、令和元年より9373人(0.7%)減っています。
 11年ぶりに国内の死亡数は前年を下回りました。
 令和元年までは、高齢化で年2万人程度増えていました。
 上下で、平年より3万人近く減少したことになります。

 また、厚生労働省が公表している、11月1日から翌10月30日までの死因別の死亡数によりますと、最も減少したのは新型コロナ以外の肺炎で前年同期比で2割弱、約1万4000人減りました。
 新型コロナで増加した1673人より減少分が上回りました。
 インフルエンザの死亡数も941人で7割減。手洗いやマスク着用などで感染症が激減しました。

 新型コロナの死亡数の9割は高齢者(満65歳以上)で、集団感染は高齢者施設が最多です。

 新型コロナ対応で受け入れ病院が見つからない救急患者は増えました。
 しかし、令和2年には、死亡数では令和元年に比べ脳卒中が約3200人、急性心筋梗塞が約1300人減少し、影響は少なかったようです。

 日本では70代以上が感染者の1割強ですが、死亡者は9割を占めます。
 死亡率は10代以下はゼロ、50代以下は1%未満に対し、60代は1.6%、70代は5.4%、80代は12.5%、90代以上が18.3%と跳ね上がります。

 一方世界をみると、確認された感染者に対する死亡率は、世界全体で令和2年4月~5月に7%を超えていましたが、検査拡充などで現在は2.2%となっています。
 日本は1.9%でやや低く、感染拡大も防げたため死亡数を抑制できたといえます。

 欧米では死亡数が平年を大きく上回る「超過死亡」が生じています。
 イスラエルのヘブライ大学などの研究チームは各国・地域の超過死亡を推計し、令和3年2月末時点での最多は米国で約50万人だそうです。同時期の感染者が2500万人を超え、死亡率は日本とほぼ同じということです。

 ロシアの超過死亡は推計約35万人で、同じ時点で確認された新型コロナの死亡数約8万人の4倍超です。
 新型コロナの罹患の有無が、十分検査されていない可能性があります。

 なお「超過死亡」とは、感染症による死亡だけでなく、他疾患を含めたすべての死亡数が平年に比べて増減したか示す指標です。
 インフルエンザの流行が社会に与えた影響を把握するため開発され、世界保健機関(WHO)が評価指標として推奨しています。
 感染症は直接死因になるだけでなく、慢性疾患の患者の状態を悪化させ間接的な死因にもなりえます。
 厳しい感染対策で適切な医療を受けられなくなったり、自殺など感染症以外の死亡が増えたりした影響も評価できます。検査体制が不十分な国での影響も分かり、国際比較の指標になっています。


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