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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

弁護士のメンタルヘルス

 大阪弁護士会は、会員のメンタルヘルスケアサービスを始めています。
 弁護士も、いろいろなストレスが加わる職業です。
 通常の、家族の悩みや、健康上の悩みの他に、弁護士ならではの悩みがあります。

 まず、訴訟や調停・審判に関わりますから、勝ち負けがともないます。

 勝った負けたといっても、しょせんは他人事(ひとごと)で、着手金は返還する必要がありませんし、成功報酬は、依頼者の利益の10%程度ですから、依頼者はともかく、弁護士が、一つ一つの事件に大騒ぎをすることはない、しかし、敗訴した場合は、大騒ぎをする「ふり」だけすればいいと割切ることができる弁護士がいます。

 しかし、私などは、依頼者の喜び=私の喜び、依頼者の悲しみ=私の悲しみと、感情移入をしてしまうタイプですから、やはり、勝敗は、喜怒哀楽をともないます。

 また、法律事務所の経営問題があります。

 その昔は、弁護士数が少なかったですから、弁護士が、丁寧に事件をしていれば、経営が苦しくなるなどということはあり得ませんでした。
 特に、司法試験合格者500人時代の弁護士は、知識・能力という点で、最近の弁護士より優秀です。もちろん、最近の弁護士でも優秀な人は当然優秀です。

 近年、弁護士が増えていますから、やはり「何かもっている」弁護士でない限り、経営は苦しくなっています。

 もっとも、私の場合、司法試験合格者500人時代という恵まれた時期が長く、裁判官10年、弁護士31年弱の経験により、蓄積がありますし、また、平均余命は、しょせん20年、現役として勤務できる時間は短いですから、「逃げ切り」ました。

 私の場合、経営のストレスは、あまり感じません。


 私と同期か、期の近い弁護士さんでも、自殺をしてなくなった方はおられます。

 大阪弁護士会が会員のメンタルヘルスケアサービスは、弁護士が、そううつ病、アルコール依存症などで、事件の処理ができないというケースがあり、弁護士全体の信用問題にかかわります。

 弁護士は、なかなかそんな弱音を口にできません。
 弱音をはくような弁護士に、危なくて事件は依頼してられません。
 政治家と同じですね。

 どうしようもなくなって、同期など友人にに相談ができれば、いい方です。
 ほとんどの弁護士は、悩みをかかえ、孤独な闘いを続けていることになります。

 ただ、あまり、過分のプライドなどもたない方がいいですね。
 また、悩まない方がいいですね。
 悩んだからといって、事態は好転しません。

 私は、長持ちするため、今までと180度方針を転換して、できるだけ「ずぶとく」「無神経で」「楽観的に」なれるよう努力しようと思っています。
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