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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

モンスター賃借人

 賃貸住宅で家賃滞納者を強制的に追い出す行為が問題となっています。

 家主や管理会社が、長期家賃滞納者の鍵を変えて入れなくしてしまったり、場合によっては、家具などを搬出してしまうことがあるようです。

 消費者契約法第10条は以下のとおり定めています。

「 民法 、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項 に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする消費者の利益を一方的に害する行為は無効とする」

 賃貸借契約書に、家賃滞納をした場合に「鍵を変えられていい」、「家屋内の動産の所有権を放棄して処分されてもいい」という約定があっても同じです。

 全く、逆のバージョンもあります。

 家賃の長期滞納があったからといって、裁判手続きで明渡しを求めるというのは、困難です。

1 訴訟の提起
  弁護士費用がかかりますね。
  家賃の長期滞納は、あっさりと判決が出ますが、やはり、訴訟提起から判決まで2、3か月はかかります。
  訴訟に要する弁護士費用は大したことはありません。
2 強制執行
  判決をとって退去してくれれば問題ありません。
  判決をとっても任意に退去しない場合は、執行官に建物明渡しの強制執行を求めることになるのですが、やはり時間と金がかかります。
  建物明渡しの強制執行は、執行官が行うのですが、実際「執行補助者」(「執行屋」と呼ばれます)に支払うお金が半端ではありません。弁護士費用などは「かわいい」ものです。

 もちろん、訴訟(弁護士費用は除く)にしても、強制執行にしても、賃借人に金銭請求することは可能なのですが、資力がなければ回収不能となります。

 金銭を貸した場合、返ってこなくとも、回収をあきらめれば、損するお金は元金と利息です。
 しかし、建物・部屋を貸すと、返還をあきらめたのでは、永久に、次の賃借人に貸せませんから、最悪、強制執行までいくことになります。
 損するお金は「滞納時から強制執行による明渡しまでの家賃」+「執行費用」となります。

 不良賃借人に貸してしまうと、いくら損するか「きり」がありません。


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