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雑記帳

知床半島沖の沈没事故からの教訓

 令和4年4月23日に遊覧船「KAZU I」が北海道斜里町の知床半島西海で沈没した遊覧船の事故は、さまざまな教訓を残しました。

 国土交通省は全国の小型観光船の事業者に対し、無線などの通信手段が陸上からつながるかどうか点検するよう求めました。
 今回の事故をめぐっては通信手段の不備が指摘されており、事態を重くみた国土交通省は、再発防止のためにも一斉点検が必要と判断しました。

 ただ、無線装置が稼働していたとしても、乗客が助かったかどうかは疑問です。

 小型観光船での救命設備の課題も浮彫りにしました。
 現場海域は2~3度の低水温だったため救命胴衣を着けていても助からなかったと考えられています。
 2~3度の低水温につかると、低体温症により意識を失うそうですね。

 「KAZU I」は総トン数19トンで20トン未満の「小型船舶」に該当します。
 乗船可能な人数分の救命胴衣に加え、救命いかだか板状の「救命浮器」を備えるよう、船舶安全法に基づく小型船舶安全規則で義務付けられています。
 「KAZU I」には救命胴衣と救命浮器が備えられていました。

 救命浮器は海面に浮く器具で、救命胴衣を着けた状態で数人でつかまって救助を待ちます。もっとも、2~3度の低水温につかると、低体温症により意識を失いますから、救命胴衣を装着して救命浮器につかまっても、意識が不明となれば手が離れますから海に流されて沈むだけでしょう。

 専門家は体が水につかったままにならない「救命いかだ」の有効性を指摘しています。
救命いかだは屋根付きのゴムボートのような形状で、一定の風や波にも転覆せずに耐えられる。乗り込んだ後、入り口を閉め切って保温できるのが特徴です。

 製造会社によると、小型船舶用で1点50万円以上するため、10万円程度の浮器の5倍以上します。
 もっとも、海水温が低いところの遊覧船は、補助金を出すなりして設置を義務づけることも選択肢の1つでしょう。
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