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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

人口1700人の与那国島、有事の最前線・自衛隊配備進む

 日本最西端の与那国島は、沖縄本島の509キロ・メートル南西に位置する人口約1700人の国境離島です。
 しかし、台湾から111キロ・メートルしか離れていません。

 台湾は島です。
 中国が台湾を侵略する際、宮古島に近づかず、宮古島方向を開けたまま侵略するということは考えられません。

 宮古島の漁民には、台湾軍の演習に伴い、特定海域にいる漁船に対して、水産庁が注意を呼びかける漁業安全情報が流れます。
演習が増えれば漁場は狭まります。

 宮古島には、島内に2か所ある警察の駐在所に拳銃が1丁ずつ、合計2丁しかなかった時代があったそうです。

 長く防衛の空白地帯と指摘されてきましたが、平成28年3月に陸上自衛隊の駐屯地が設置されました。
 沿岸監視隊員約160人がレーダーなどで船舶や航空機を24時間監視します。

 航空自衛隊も令和4年4月に、駐屯地を拠点に与那国分遣班を新設しました。
 移動式警戒管制レーダーで領空侵犯の恐れがある外国軍機を探知し、那覇市の航空自衛隊那覇基地からの緊急発進につなげます。
 令和3年度のスクランブルは1004回で過去2番目の多さだったそうです。
 内中国機への対応は全体の7割を超えます。

 防衛省は、敵のレーダーや通信機器を無力化する電子戦部隊について、令和5年度にも与那国島への配備を計画しています。

 八重山諸島では、与那国以外でも自衛隊の存在感は高まります。
 駐屯地は令和元年に宮古島に設置され、令和4年度中には石垣島でも開設されます。
 一部に「基地は攻撃対象になる」と反対運動もあるようですが、危機感を抱く住民の間では自衛隊誘致を求める声が広がります。

 ロシアによるウクライナ侵攻も緊張を高めています。
 中国もロシアと同じ独裁国家ですから、何をするかわかりません。

 宮古島は台湾有事も念頭に、国民保護法に基づく避難想定例を策定済みですが、対象範囲は島内にとどまります。
 地区ごとに学校などに集めた町民を、空港や港にバスなどで運ぶ想定です。
 その先の島外への避難は、主に国が責任を持つが、町への明確な回答はありません。

 在沖縄米軍の重要性が高まっています。
 台湾有事が現実味を帯び始めたからです。
 台湾国防部内には「中国は令和7年に台湾侵攻能力を備える」との見方もあるようで、米軍は新たな作戦構想に基づく訓練を活発化させています。

 米軍は、占拠された離島の奪還を含む、拠点の確保の訓練をしています。
 統括した米海兵隊幹部は「台湾有事も非常に懸念している。万が一の事態に備えて能力を高めている」と強調しています。

 米軍の新たな作戦は「遠征前方基地作戦(EABO)」と呼ばれます。
 機動性に優れた海兵隊の小規模部隊が、敵の射程圏内の島嶼に分散し、対空・対艦攻撃、補給、情報収集などの拠点を築きます。
 対艦ミサイルの脅威にさらされる米海軍の制海権確保を支援します。

 沖縄県うるま市のキャンプ・コートニーに司令部を置く米軍第3海兵遠征軍傘下の第31海兵遠征部隊(2200人規模)は有事の際、真っ先に現場に駆けつける部隊で、米本土外に拠点を置く唯一の海兵遠征部隊です。

 米軍が沖縄を離れ、展開に時間がかかると中国が見れば、台湾を制圧できると判断する危険が高まります。
 こうした情勢認識を踏まえ、米海兵隊は令和3年12月、敵の射程圏内にとどまり、抑止力となる「スタンド・イン・フォース(圏内部隊)構想」を公表しました。
 「海兵隊が沖縄にいて『迅速に展開できる』と示すことが、中国に過信と誤算を招かない抑止力になる」ということですね。


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