2020年バックナンバー
雑記帳
都道府県名の記載の必要性
委任状などに住所を書いてもらおうとすると「どこから書きましょうか」と聞かれることがあります。
具体的には、「大阪府大阪市」と書くか、「大阪市」から書きはじめるか、どちらがいいでしょうという質問です。
欄があれば記載する、欄がなければ、知らない顔をして省略し、指摘されれば補充するということかもしれません。
公的なものとしては、以下のものがあります。
昭和32年12月24日付民事局長通達民甲第2419号には「登記簿に記載する本店、支店、事務所又は役員の住所は、指定都市及び都道府県名と同一名称の市を除いては、都道府県名をも記載するのが相当である」と記載されています。
大阪市や京都市や神戸市や堺市を、わざわざ大阪府大阪市と記載したり、京都府京都市と記載したり、兵庫県神戸市、大阪府堺市と記載するのは迂遠です。
また「奈良県奈良市」や「和歌山県和歌山市」などは、わかりきったことを書くなという気になりますね。
県庁所在地であっても(県庁所在地でない栃木市や沖縄市もあります)、滋賀県大津市を「大津市」と記載すると、どこの県かわからないという人も出てきそうです。
商業登記に関する通達ですから、他は、これに拘束される理由はありません。
常識で考えると「指定都市及び都道府県名と同一名称の市を除いては、都道府県名をも記載するのが相当である」が、案外「いいところ」をいっていてます。
なお、同一の「市名」は、原則としてつけないようにしているらしいのですが(埼玉県に狭山市があるので「大阪狭山市」、和歌山県に田辺市があるので「京田辺市」など)、例外もあります。
東京都にも広島県にも「府中市」があるのは有名ですし、他にも、北海道にも福島県にも「伊達市」があります。
逆にいうと「府中市」「伊達市」以外は、「市名」から書き始めても、特定という観点からすると十分ということになります。