2018年バックナンバー
雑記帳
対外資産が1000兆円を突破・日本はすでにお金でお金を稼ぐ投資立国に
財務省が発表した平成29年6月時点における対外資産の総額は990兆円でした。
その後も対外資産の額は増加していますから、その伸びを推定すると、平成29年10月末段階で、既に1000兆円を突破している可能性が高いとみられています。
政府と民間を含みます。
海外資産には、大きく分けて、証券投資と直接投資があります。
証券投資は、具体的にはアメリカ国債がほぼすべてということになるでしょう。
日本は、輸出で稼いだ外貨の多くをアメリカ国債に投資しており、こうした証券投資によって得られる収益は、平成20年ころから輸出で得られる収益を上回っています。
日本が輸出大国だったのは昭和の時代の話であり、日本は、すでに、お金でお金を稼ぐ投資大国となっています。
直近10年くらいは、証券投資の他に、直接投資の伸びが大きかったです。
これは日本の製造業が海外に生産拠点を移したことが原因です。
海外に現地法人を設立し、その会社に投資するという形になりますから、直接投資の金額が増加します。
国内では輸出がなくなると日本が儲からなくなるという話がでますが、そうではなく、現地法人からの配当やロイヤリティなどが入ってきますから、日本国内にお金が戻ってくるのは同じです。
ここ1、2年は直接投資の伸びが鈍化し、証券投資が拡大しています。
背景にあるのは量的緩和策による低金利です。
日本銀行が大量に国債を買い入れる量的緩和策によって金利が低下し、日本国内の金融商品では利回りを確保することができません。
他方、アメリカ国は順調に経済が成長しており量的緩和策を終了は、金利を引上げはじめています。
日本とアメリカでは大きな金利差がありますから、当然、資金の多くは高い金利を求めてアメリカに流れることになります。
これが日本の海外資産を増やしている理由です。
海外の運用益で稼ぐということは、海外に労働してもらってお金を稼ぐということですから悪い話ではありません。
ただ、日本はもっと付加価値の高い産業の育成に力を入れるべきことはいうまでもありません。