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2018年バックナンバー

雑記帳

ボーナス和解

 「ボーナス和解」という弁護士の仲間うちの言葉があります。

 

 事務所を経営している弁護士は、夏、冬と、イソ弁、事務員にボーナスを支払わなければなりません。

 

 夏のボーナスは、各法律事務所によって、支給日が6月のところが多いものの、7月に支給というところもあって時期は決まっていませんが、冬のボーナスの支給日は、12月10日から15日くらいに集中しているようです。

 

 イソ弁や事務員数が多ければ、12月のボーナスは大変な負担となります。

 

 そこで、現在、和解の機運があるものの、わずかの意地の張合いで「膠着状態」となっている事件について、ボーナス資金が必要な弁護士から、相手方弁護士に、和解打診の電話連絡が入ることがあります。
 訴訟の案件もあれば、示談交渉の案件もあります。

 

 「この事件、年内に和解にしませんか」という内容ですが、やはり、先に電話をかけた弁護士が「少し」「譲歩した」内容となります。

 

  通常は、相手方弁護士も、同じことを考えていますから、「少し」「得をした」内容での和解を検討することになります。

 

 お互いに、依頼者を説得する「殺し文句」は「年内に紛争を解決して、気持ちよく新年を迎えませんか」です。

 

 先に声をかけた弁護士が「少し」損ですから「我慢の仕合」になります。

 

 また、この時期ころから年末にかけて、裁判上の和解も成立しやすくなります。
 裁判官の「殺し文句」も「年内に紛争を解決して、気持ちよく新年を迎えませんか」です。

 

 ただ、12月に多くの資金を必要とするのは、イソ弁、事務員数が多い経営弁護士です。

 

  イソ弁なし、事務員の人数が知れていれば、そう12月は苦しい月ではありません。
 12月には、納付する税金がないからです。

 毎年4月には、所得税・消費税の振替納付日、6月には個人住民税(第1期分)の納付日、7月には所得税予定納税額(第1期分)の納付日、8月には個人事業税(第1期分)の納付日と、個人住民税(第2期分)の納付日、10月には個人住民税第3期分の納付日、11月には個人事業税(第2期分)の納付日、所得税予定納税額の納付日がきます。

 

 毎月毎月、よく、こんなに税金を「とられる」ものですね。

 

 理屈からいえば、6月、7月に「ボーナス和解」があってもよさそうですが、「年内に紛争を解決して、気持ちよく新年を迎えませんか」ということを依頼者に言えませんから、冬のボーナス時限定です。

 

 もちろん、弁護士も、年末に、自分の事務所経営の他に、何かとお金が必要なのは一般の方々と同じで、それにイソ弁と事務員へのボーナスが加わりますから大変なわけです。

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