2019年バックナンバー
雑記帳
1人親方
「1人親方」という言葉をご存じでしょうか。
建設業などで労働者を雇用せずに自分自身と家族などだけで事業を行う事業主のことです。もともとは、建築業での言葉ですから「親方」という言葉がもちいられています。
複数の顧客から、注文をもらっているなら、文字どおりの「1人親方」でしょうが、現実には、特定の雇主からの仕事のみをする人も「1人親方」と呼ばれます。
契約関係は、「請負」ではなく、「請負」「準委任」になります。
現在では、建築業者だけではなく、IT技術者、塾講師、宅配ドライバー、エステティシャン、健康飲料販売員などにも「1人親方」がいます。
雇用関係ではありません。
健康保険は、会社の健康保険ではなく国民健康保険、年金は、厚生年金ではなく国民年金に加入します。健康保険料や厚生年金は控除されません。
労災保険の適用もありません。建設業の場合は、一人親方労災保険に加入します。他にも、組合があるかも知れません。
ただ、雇用と違い、失業保険は出ません。
もちろん、出産休暇や育児休暇はありません。
解雇の制限はありません。契約期間が経過したら、再び契約を結ぶか、契約終了かいずれかです。
自営業者ですから、年間1000万円以上の売上があれば、消費税の納付義務もあります。
建築業の「1人親方」の場合、腕がよければ、弟子を雇って、仕事の規模を大きくしていけます。
IT技術者、塾講師、エステティシャンの場合、能力次第で、高額給与の勤務先に勤務する機会もありますし、独立して従業員を雇い、規模を大きくして、大きく稼ぐこともできます。
ただ、そういうことができなければ、いつまでたっても、身分は不安定で、失業の危機にさらされているということもいえます。