本文へ移動

美術・音楽 バックナンバー

本当に似ている?

その昔、裁判官の先輩が「琵琶湖就航の歌」と「真白き富士の嶺」の曲を間違えるくらい似ていると言っておられました。「あまり、他のところでおっしゃられない方がいいと思います」と申上げました。

 琵琶湖就航の歌(詞・小口太郎 曲・吉田千秋)
われは湖の子 さすらいの
旅にしあれば しみじみと
昇る狭霧や さざなみの
滋賀の都よ いざさらば

 真白き富士の嶺(根)(詩・三角錫子 曲・Jeremiah Ingalls)
真白き富士の嶺、緑の江の島
仰ぎ見るも、今は涙
歸らぬ十二の雄々しきみたまに
捧げまつる、胸と心

 似てなくはないですね。
 しかし違います。
 その時は「そんなに似てないと思いますよ」と言ったのですが、最近、同じことを言う同業者がいました。

 調べてみると「真白き富士の嶺」は、Jeremiah Ingallsというアメリカの作曲した「Love Divine」という賛美歌に、日本の作詞家である三角錫子が詩をつけたようです。

 「琵琶湖就航の歌」も、賛美歌を「参考」にして作曲されたのではないかという説があります。

 作曲者である吉田千秋氏は、英国の童謡「Water Lilies」を訳して、オリジナルの曲をつけた「ひつじぐさ」を発表しています。「ひつじぐさ」のメロディーが「琵琶湖就航の歌」のメロディーです。

 また、琵琶湖周航の歌資料館に「Water Lilles」「ひつじ草」「琵琶湖哀歌」(琵琶湖就航の歌)「七里ヶ浜の哀歌」(真白き富士の嶺)が並んでいます。
 ある意味で、「琵琶湖就航の歌」も、「真白き富士の嶺」と同様、イギリスやアメリカの賛美歌を下敷きにして、日本の歌詞をつくった歌のようです。

 そう考えれば、「真白き富士の嶺」と「琵琶湖就航の歌」が、どことなく似ている理由もわかります。

 もっとも、「真白き富士の嶺」と「琵琶湖就航の歌」は「曲を間違える」ほどは似ていません。
 似ているというなら、「真白き富士の嶺」のメロディーで「琵琶湖就航の歌」の歌詞を歌ったり、その逆も可能なはずですが、実際、通常人には不可能でしょうね。

TOPへ戻る