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美術・音楽 バックナンバー

最後の晩餐

 

「最後の晩餐」をご存じでしょうか。

 キリスト教の新約聖書に記述されていて、イエス・キリストが逮捕・処刑される前夜、十三使徒と共にとった夕食、またその夕食の席で起こった事跡です。この夕食の場で、使徒のうち誰かがイエスを裏切ることが告げられるとなっています。

 もちろん、もっとも有名なのは、ミラノにあるレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」がある「サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会」の壁画でしょう。ちなみに、26年前はじめてに見たときは、お金は払いましたが、待たずに、さっと入れたのですが、今では、インターネットか電話による予約がないと、いくら待っても、入場すらできないません。
 この壁画については、フレスコ画法なら問題はなかったのでしょうが、ダ・ビンチがテンペラ画法を用いたために、実際は、完成直後から剥離が起こり、現在見られるのは修復されたものにすぎません。
 イタリアでは、名画についても「修復」をするようですが、フランスにあるモナリザは、「修復」されていませんから、「くすんだ」ままです。
 どちらがいいのかはわかりません。

 ダ・ヴィンチ・コードですが、話としては、おもしろいのでしょうが、レオナルド・ダ・ヴィンチが、「英語」の暗号を残していたとすれば、レオナルド・ダ・ヴィンチが、「日本語」の暗号を残していたと同じくらい不合理なことになります。当時のイギリスは、イタリアやフランスからすれば、縁もゆかりもない辺境の発展途上国です。

 と前置きは別として、サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会の壁画の構図は不自然とお思いになりませんか。
 普通は、テーブルを囲むようにして食事をするのであって、14人並んで食事をするということは考えにくいです。
 何か、最高裁判所の大法廷を連想させます。
 また、大阪地方裁判所第二別館(もとの大阪弁護士会館)に、「裁判員」の広報の看板があるのですが、その構図とも似ています。

 ということですが、同じミラノに「ブレラ絵画館」というのがあります。ドォーモ(大聖堂)からパサージュを抜け、パサージュから少し歩けばつきます。
 よくツアーで、「サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会」に入れないときは「ブレラ絵画館」に案内しますと、小さく書かれていますが、天と地ほどの差があるわけで、「ブレラ絵画館」に案内されたグループは「詐欺」にあったようなものです。

 ちなみに、「ブレラ絵画館」には、ルーベンスの「最後の晩餐」があります。
 これは、構図としては、テーブルを囲むようにして食事をするようになっていますが、キリストは、もちろん正面から、しかし、ほぼ半分の使徒は後ろ姿になってしまっています。
 ただ、ルーベンスの絵画の中でも、もっとも有名な絵画の一つです。

 ミラノに行かれる機会があれば、レオナルド・ダ・ヴィンチとルーベンスの「最後の晩餐」を見比べられるのも一興かと存じます。

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