本文へ移動

司法 バックナンバー 3/3

事件数の推移

 

  「平成11年から平成20年の民事第1審事件新受件数のグラフ」 をご覧下さい。
 これは全国の合計です。

 まず、倒産関係からみていきます。

 破産数のグラフはわかりやすいですね。
 平成11年12万8488件の破産数が、平成15年の約25万件まで倍増し、こから、平成20年の14万0941件、ピーク時の56%まで下がっています。
 調停数(増加分は、ほぼ全件、特定調停でしょう)も、平成11年26万1443件の破産数が、平成15年の60万超件まで倍増し、こから、平成20年の14万8242件、ピーク時の22%まで下がっています。

 ちなみに、破産は、弁護士と司法書士、特定調停は本人がほとんどでしょう。

 一時期は景気がよかった時期があったのかも知れません。
 不動産競売事件も減少した時期があります。
 ただ、近年の破産数の減少は、従前は破産や民事再生しかなかった多重債務者の債務整理について、業者が保管している取引履歴の全部開示、過払い返還により、破産をせずに任意整理(債務合計が100万円以下になれば、高齢者・生活保護受給者・母子家庭などを除き破産はさせてもらえませんし、破産するべきではありません)で終了しているということが考えられます。
 過払い返還により、逆に債務どころか「ボーナス」を手にした多重債務者も多いでしょう。弁護士費用を引いても1000万円を手にした債務者もいるそうです。

地裁民事一審事件は平成11年の15万0952件から、平成17年の約12万6000件まで逓減しています。
 平成20年でこそ19万9523件と持ち直していますが、3割は過払い返還請求訴訟でしょう。
 過払い返還請求訴訟は、貸金業法の改正で、逓減していって、いずれなくなりますから、過払い返還請求訴訟を除いた基本数は12万件くらいかも知りません。
 これで、弁護士大増員ですから、大変ですね。

 反対に簡裁の一般訴訟事件は、平成11年の30万2690件から平成20年の55万1875件に増加一方、逆に、支払督促は57万5781件から38万8230件に減っています。

 平成11年の簡裁の一般事件と簡裁の督促事件の合計が、85万4565件、平成20年の簡裁の一般事件と簡裁の督促事件の合計が、96万4021件と12%の増加です。
 支払い督促が減少の一途、一審訴訟が増加の一途をたどっています。
 支払督促の異議を出す事件が増えたので、迂遠な支払督促より、訴訟を提起してしまうのが「はやい」と考えられているでしょう。

 ただ、ここでも、過払い返還請求訴訟を考えなければなりません。
 地裁並で3割としても、55万1875件ある過払い金返還請求を除いた事件数は約38万5000件。知れてますね。
過払い返還請求訴訟は、貸金業法の改正で、逓減していって、いずれなくなりますから、過払い返還請求訴訟を除いた基本数は40万件ないかも知れません。

 こで問題なのは、簡裁一審事件の増加派も司法書士が代理人となっいてる事件が含まれるようになったことです。
 弁護士が、できるだけあわせて訴訟を提起しようとしますが、司法書士は140万円の壁がありますから「バラ」で訴訟を提起します。
 数が増えているのは、本来なら一緒の事件を「バラ」で提起しているため、金額の割には事件数がやたらふえているのでしょう。極端な話、1原告、1サラ金を1件として、訴訟提起している司法書士さんがおられます。

 司法書士の扱い事件が急増しています。
 これで、弁護士大増員ですから、弁護士は大変ですね。

 弁護士が扱う事件数が少なくなれば、弁護士の雇用が増えるはずもありません。
 真っ先に、司法修習生の就職難という形で「しわよせ」がきているのでしょう。
 弁護士1人あたりの事件数・収入は相当減ってきていると思います。

TOPへ戻る