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2012年バックナンバー

活断層

原子力規制委員会員会は、平成24年12月10日、日本原子力発電敦賀原子力発電敷地内の岩盤の亀裂(破砕帯)について、専門委員5人全員が「2号機の真下を走る断層が活断層の可能性がある」活断層の可能性を指摘し、これを受け、原子力規制委員会委員長は「今のままでは再稼働はできない」と述べました。

 現在の国の指針では、活断層の真上に原子炉建屋を建てることを認められていません。
 昭和53年に「過去5万年以内に地盤が動いていないこと」という耐震指針ができ、昭和62年に完成した敦賀2号機はこの基準を満たしています(厳密には着工の認可時により判断)。
 指針が平成18年に「過去12~3万年以内」と改められ、平成22年に「活断層の上に重要施設は建設できない」と規定されました。

 いわゆる「既存不適格」ということになります。

 建築物の耐震基準は、昭和56年6月1日に大きく変更され、昭和56年6月1日以降に建築確認を受けた建物に対して新耐震基準が適用されています。
 その後も、何回か耐震基準が変更されていますが、一般に、中古住宅の売買をするときに気をつける程度のものではありません。

 「既存不適格」「建築物」は、建築時には適法に建てられた建築物であって、その後、法令の改正や都市計画変更等によって現行法に対して不適格な部分が生じた建築物のことをいいます。

法改正のたびに既に建っている建築物をすべて違反としてしまうと、大きな社会的混乱が生じる恐れがあり(それ以前の、新基準に適応していない建築物を除去しなければならないという理屈にもなりかねません)、現行法に適合しない状態を半永久的に続けることを認めているわけではなく、増築や建替え等を行う際には、法令に適合するよう建築しなければならないということになります。

 ただ、あくまでも、通常の建築物の場合です。

 通常の建築物は、地震で倒壊したところで、その建物と、せいぜい、その建物の建物の高さの範囲に影響を及ぼす程度ですね。
 通常は、自分(マンションの場合は自分たち)が、危険を甘受すれば、それで住むという問題にすぎません。

 原子力発電は、そうはいきません。
 活断層の真上に建設されている原子力発電を「移設」するわけにもいきませんし、そもそも「補強くらいでは足りない」わけですから、敦賀原子力発電2号機は、運転再開できず、廃炉になる可能性が高くなりました。

 日本原子力発電は、東海第二発電所(東日本大震災より停止中)、敦賀発電所(1号機、2号機定期点検中)を保有しています。
 敦賀発電所1号機は、昭和45年(1970年)に建設されたもので、耐用年数の40年をとっくに経過しています。

 東海第二発電所が再稼働できないなら、「日本原子力発電」は、存続の意味がないようです。

 幸か不幸か、破綻処理をしたところで、株主は、ほぼ電力会社と大銀行だけにすぎません。
 もちろん、電力会社が損をすれば、電力料金にはね返ってくることは確実ですが、敦賀原子力発電2号機が、大事故を起こした場合の損害とを比較すれば、結論は明らかかと思います。
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