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2011年バックナンバー

司法試験合格者数についての弁護士の内輪もめ

私自身は、ヨーロッパに旅行中で不在だったのですが、平成20年8月6日に、大阪弁護士会で臨時総会がありました。
 司法試験合格者を平成22年までに年3000人に増やす政府計画をめぐり、「今年度の合格者数を多くとも前年度並みの2000人規模に抑えるよう求める」執行部の決議案を賛成多数で採択しました。
 執行部案を「不十分」とする若手弁護士ら約200人が「当面の合格者数を前年度より大幅に減少させる」ことを求めた独自の決議案も提出されましたが否決されました。

 「弁護士の質が落ちる」「公益活動がおろそかになる」「新人弁護士が就職難になる」「一生に一度弁護士に依頼する市民が、程度の低い弁護士に依頼する確率が増え、被害をこうむる確率が格段に高くなる」というのが、弁護士の共通した公式見解です。

 マスコミの論調は、弁護士は、これを「隠れ蓑」にして、自分たちの収入を守ろうとしているにすぎないというものです。

 気になるのが、一部「若手弁護士」が、「自分の期の合格者数」より「後の期の合格者数」を減らせという主張を本気でしていることです。
 平成20年8月6日の臨時総会においても、去年・一昨年に弁護士になった人が、自分の合格したときの試験より、試験の合格者数を減らせと論陣を張った弁護士がいたようです。

 これはまずいですよね。大増員のおかげで合格できた人が、合格したとたんに、現状維持ならまだしも、合格者を大幅に減らせというのは。

 「質が落ちるから」増員反対という、弁護士ほぼ一致の「見解」がとんでしまうと、「自分の収入が低下するから」「増員反対」という「本音」だけがむき出しになってしまいます。

 弁護士は、弁論と書面により、裁判官を納得させる職業です。
 他の先輩弁護士が、一生懸命弁論をしているのですから、横から足を引っ張るようなことはせず、おとなしく見ておいた方がよい、雇った弁護士さん気の毒やと思うのは私だけでしょうか。

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