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司法 バックナンバー 2/3

法律事務所の事務職員

法律事務所の事務職員に資格が必要なのでしょうか。
 「全く必要がない」というのが正解です。

 「事務職員能力認定制度規則」 はありますが、「認定をとったから」といって、御利益(ごりやく)は、あまりなさそうです。

 通常、法律事務所職員は、新聞などによる公募によって採用したり、縁故採用したりする例が多いようです。

 その昔は、事務員といえば、お茶くみ、電話番、コピー、裁判所への書類届け、あと「和文タイプ」などの仕事をしていました。今でも、弁護士がワープロを使えない人がいる場合(私の同期=30年目だと半分くらい)は、手書原稿を事務員に打たせているようです。
 弁護士がワープロを打つようになって、事務員の手数もはぶけるようになりました。

 ただ、資格は必要ないのですが、結構、弁護士本来の仕事の一部を分担しています。
 特に、個人債務の任意整理、個人の自己破産、個人民事再生などをしている法律事務所(大半だと思います)では、相当部分を事務員がしています。
 これらは、裁判所も同じ事で、書記官、事務官が相当部分をしていて、裁判官よりはるかに書記官の方がここの事件の内容について詳しかったりします。

破産法の大改正という場合などは、裁判所は、裁判官が弁護士相手に講演したりしますが、破産部の事務取扱の変更などは、書記官が法律事務所の事務職員相手に講演をしています。
 どのような書類が必要なのかなどは、弁護士より法律事務所の事務職員が詳しいのは当たり前の話ですね。

 利息制限法に引き直すための「取引履歴の入力」を弁護士がすることはまずありません。
 弁護士自身が何でもかんでもやる法律事務所は、事件自体が少ないんでしょう。
 当事務所は、事務員にやってもらうのももったいないので、「取引履歴の入力」は外注に出しています。

 もっとも、破産や個人民事再生の「債権者一覧表の整理」「多額の負債を負うに至った経緯の記載」、個人民事再生の「履行可能性の記載」などの肝心な部分は弁護士が記載するのが通常です。
 私も全件そうしています。
 これは、全く問題ない事案は別として、書記官ではなく、本来裁判官がチェックする部分(書記官の指摘によりということですが・・)ですから、弁護士が記載するのが当然でしょう。これを事務員に「丸投げ」するような事務所は、逆に怖いですね。

 ちなみに「弁護士秘書」というのは、よほど大きい事務所の特定のトップクラスの弁護士1人のみの担当の事務職員にしか使いません。通常「法律事務所事務員」です。

とはいえ、事務職員は「法律事務所の顔」としての側面も持ちますから、弁護士は、結構、事務員選びに慎重になります。

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