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司法 バックナンバー 2/3

修習生への給与廃止

裁判所法の一部を改正する法律(平成16年法律第163号)によって、司法修習生に対し給与を支給する制度に代えて、修習資金(司法修習生がその修習に専念することを確保するための資金)を国が貸与する制度(修習資金貸与制)が導入され、平成22年11月1日から施行されることになっています。

 平成16年成立の法律が平成22年から施行というのは珍しいですが、弁護士会の猛反対があったためです。

 現在、司法修習生は、国家公務員上級職3年目程度の給与を得ています。
 基本給と期末手当(ボーナス)はもちろんのこと、大都市調整手当(私のころの東京は8%でしたが、現在、20%もらえるそうです)、扶養手当、住居手当、通勤手当、国家公務員共済施設利用、結婚・出産祝い金、冠婚葬祭扶助のフリンジベネフィットもあります。

 貸与制になりますと、公務員待遇としての、共済年金(配偶者がいる場合は3号被保険者資格)が天引きされていましたが、国民年金に加入しなければなりません(配偶者がいる場合は各自ということになります。もっとも配偶者も働かざるを得ないでしょうね)。収入が0で免除者も増えるでしょう。
 また、健康保険も、共済健康保険(家族含む)が天引きされていましたが、国民健康保険に加入しなければなりません。ただ、収入が0ですから知れてます。
 ついでに、健康保険の任意継続もなくなります。

 もちろん、無利息で貸与といっても、23万円から28万円で生活していけるか疑問です。
 日々の生活費だけではなく、住居自前、国民年金自前、国民健康保険自前ですから、2年額26万円から336万円では結構きついでしょうね。
 特に都市部の居住者は住居の支出が大変です。物価も高いですし。


 たいてい、貸与制になって、法科大学院の授業料と生活費、司法修習生での生活費を考え、スタートラインに立ったところで、多重債務者になっているという点ばかり強調されますが、扶養家族がいる修習生にとっては、特に大変ですね。


 ただ、私が司法修習生になったころから「裁判官や検察官になるものはともかく、弁護士になるものが、勉強をして国から給与をもらうのはおかしい」という「一部」「やっかみ」もありましたが、法曹の質の確保は、何よりも大切でしょう。


 それで、弁護士になって就職ができないとなれば、どうやって返済していくのでしょう。 

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