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司法 バックナンバー 2/3

貧困ビジネス

 「貧困ビジネス」という言葉があります。

 普通の商売は、お金を持っている人、ある程度お金を持っている人にモノやサービスを売り、対価を得ます。
 これに対して「貧困ビジネス」は、お金のない人にサービスを売り対価を得ます。

 代表的な貧困ビジネスに、単純労働者の派遣をする人材派遣会社があります。
 労働者派遣の規制が緩和されたことにより、数多くの人材派遣会社が生まれました。
 派遣社員は、正規の雇用ではなく、不安定な身分であり、また、正社員に比べ少ない収入で労働しています。
 人材派遣会社は、営利企業ですから、どこかから収入がないと「儲かり」ません。
 派遣先から受取る派遣料と、労働者に支払う賃金の差を利益のもととしていますから、ある意味で、賃金のピンハネです。

 インターネットカフェも、相当数の店舗が貧困ビジネスです。
 住む家がなく、泊まる場所がない人たちは、カプセルホテルか、サウナや健康ランドで夜を過ごしていました。
 漫画喫茶・インターネットカフェは24時間営業で、シャワールーム・個室席などを備えたものが普及してきました。
 長期滞在による割引料金が適用になったり、「店の住所」での住民票の登録と郵便物の受取りを代行するサービスを実施しているところが出てきました。
 ただ、利用料金、シャワー利用料、洗濯サービス、住民票登録と郵便物引取り、飲食代も含めると、1か月に7万円も8万円もかかります。
また「宿泊施設」と見做されてしまうと、旅館業法が適用され、「部屋を広くする」、「防災管理を厳しくする」などの制約が生じるため、あくまで「時間あたりの利用料金」を徴収します。
 逆にいうと、「部屋を広さ」「防災管理」が劣るということになります。
 悲惨な事故も多いですね。

 「ゼロゼロ物件」(敷金、礼金ゼロの賃貸)、それとワンセットになった「追出し屋」も貧困ビジネスです。
 敷金をゼロにしてしまうと、家賃の滞納は経営に大きく響きます。
 住居の入口の扉に、他者の目にも触れるように督促状を掲示したり、鍵の交換や追加により、入居者を住居から締め出す「追出し屋」が暗躍します。

 生活保護受給者を「食い物」にするビジネスもあります。
生活保護受給のためには、定まった住居が必要であり、従業員が、路上生活者らを「ここに入れば生活保護費を受けられる」という甘い言葉で誘い込み、宿泊所に入所させます。そして、生活保護の手続きをさせます。
 これだけなら問題はありません。
 しかし、受給者の預金通帳やキャッシュカードを取上げ、受給者の口座から、施設使用料(家賃)・食費・運営費・その他光熱費名目で、自動的に送金される口座から差引き、受給者には3万円程度しか渡しません。


 景気が悪くなると、「おかしな」「ビジネス」が出てきますね。

 昔からの「貧困ビジネス」というと、「高利貸し」が真っ先に浮かびましたが、「高利貸し」は、過払い請求などで廃業に追い込まれていっています。

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