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司法 バックナンバー 1/3

弁護士と公益活動

 「プロボノ」活動という言葉をご存じでしょうか。

 「プロボノ」とは、弁護士などが、無報酬で行うボランティアの公益活動のことをいいます。

 大阪弁護士会では、プロボノ活動について「会員の公益活動等に関する規程」が定められています。

 会員は、以下の「特定公益活動」に参加する義務があります。

1 大阪弁護士会総合法律相談センター若しくは大阪弁護士会高齢者・障害者総合支援センターが実施する法律相談又は国、地方公共団体その他団体から受託する法律相談の相談担当者としての活動
2 国選弁護人又は国選付添人としての活動
3 刑事当番弁護士としての活動
4 日本司法支援センターが実施する法律相談の相談担当者としての活動又は法律扶助事件の受任弁護士としての活動
5 本会、日弁連又は近弁連の委員会活動
6 その他会長が常議員会の決議に基づいて定める活動
 (註。市民窓口相談員、支援弁護士として新人弁護士の指導、会員相談サポート相談員)

 次に掲げる職務に就任している会員は、その就任中の年度について参加義務を履行したものとみなされます。

1 本会、日弁連、近弁連の役員
2 常議員
3 司法修習生の指導弁護士
4 公設事務所の設置会員又は勤務弁護士
5 日本司法支援センターの理事、事務局長、地方事務所長、副所長、事務局長
6 日本司法支援センターの常勤スタッフ弁護士
7 民事調停委員、家事調停委員
8 司法委員
9 非常勤裁判官
10 その他会長が常議員会の決議に基づいて定める職務
 (略)

 参加義務が免除されるのは次の場合です。

1 満65歳以上の会員(当該年度に満65歳に達する会員を含む)
2 海外留学又は海外勤務により特定公益活動に参加することが困難であると認められるとき
3 傷病、出産、育児、介護のため参加が困難と認められるとき
4 司法研修所教官の職にあるとき
5 任期付き公務員の職にあるとき
6 国会議員の職にあるとき
7 その他会長が常議員会の決議に基づいて定める事由があるとき
 (略)

 参加義務を履行しなかった会員は、1年度につき金6万円の公益活動負担金会費を納付しなければなりません。
 参加義務を履行せず、公益活動負担金会費を納付しない場合は、氏名が公表されることがあります。

 ということで、「公益活動」をできる弁護士が、自分の「もうけ仕事」だけをして「公益活動」をしなければ、1年度につき金6万円の「公益活動負担金会費」という名の「罰金」を支払わなければならないという仕組みになっています。


 典型的な「公益活動」とされている「法律相談」は、「法律相談」からの「事件受任」をねらった弁護士さんの「営業活動」の場となっていると言われています。
 また、やはり、典型的な「公益活動」とされている「刑事当番弁護士」や「国選弁護人」も、「飯の種」という弁護士さんもおられます。

 ですから「公益活動」「プロボノ活動」と、「もうけ仕事」の境界は曖昧です。

 なお、司法修習生について「貸与制」をとり「公益活動」に従事すれば「返済免除」というのは意味はありません。
 特に、若い弁護士さんについて、法律相談が「営業活動」、当番弁護や国選弁護が「飯の種」となる傾向にあり、結局、ほぼ全員が返還免除となります。

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