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司法 バックナンバー 1/3

準備書面・書証の送付とファクシミリ

相手方に弁護士がついていない事件について「法律事務所から会社にファクシミリが送付されてきた」「当社が訴訟をしていることは、従業員に隠していたのに、ファクシミリが送付されてきたばれてしまった」「どうしてくれる」という「文句」をつけられることがあります。
 明らかな「難癖」です。

 法律事務所が、準備書面や書証をファクシミリ送信することは、裁判所規則の定めていることですから当然のことです。

 最高裁判所が定めた民事訴訟規則には、以下の条文があります。
「3条 裁判所に提出すべき書面は、次に掲げるものを除き、ファクシミリを利用して送信することにより提出することができる(以下略)」
「47条1項 直送(当事者の相手方に対する直接の送付をいう。以下同じ)その他の送付は、送付すべき書類の写しの交付又はその書類のファクシミリを利用しての送信によってする」

 裁判所は「非常識」なのでしょうか。
 違います。
 民事訴訟法91条に「何人も、裁判所書記官に対し、訴訟記録の閲覧を請求することができる」と定められています。
 裁判の公開という憲法上の規定(82条)から、訴訟記録は誰でも閲覧できます。
 ただ、営業秘密に関する書類等の例外はあります。
 法律事務所から送付されてくる準備書面や書証は、民事訴訟記録に綴られますから、誰でも見ることができます。
 法律事務所から送付されてくる準備書面や書証は「秘密」でも何でもありません。ですから、誰に見られてもいい書面である、よって、ファクシミリでの送付で十分となっているのです。
 同様、裁判所からの連絡文書も、一部例外を除きファクシミリにて送付されてきます。

 「法律事務所からファクシミリしてほしくない」「裁判所からファクシミリしてほしくない」との希望があれば、弁護士に事件を依頼すればいいわけです。
 書類は、法律事務所にファクシミリされます。
 弁護士に「親展で郵送してほしい」「郵送してほしい」「ファクシミリ前に電話がほしい。ファクシミリ機の前で自分自身が受取る」といっておけば、弁護士は、そのような扱いをします。
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