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司法 バックナンバー 1/3

裁判官経験のある最高裁判事

元慶応大法科大学院教授の岡部喜代子氏(61)が、平成22年4月に最高裁判事に任官しました。
 前任の藤田宙氏が「学者枠」のため、「学者枠」での任命です。

 ただ、28期の司法修習生として裁判官に任官していて、17年間裁判官を務めています。

 従前は、裁判経験者は、5年以上裁判官の経験があると、「弁護士枠」でも「学者枠」でも、最高裁判所判事になれないとの慣行がありました。

 5年未満の裁判官経験ですと、「弁護士枠」「学者枠」で入ってきても、「元裁判官」としても「違和感」が、さほどありません。
 裁判官としての経歴は、最高裁判事になるまでのキャリアの中でわずかを占めるにすぎず、ほとんどを「弁護士」「学者」としての「実績」によるものですから、他の同期、あるいは前後の期の裁判官との能力を比べることに意味はありませんでした。

 ちなみに、裁判官枠で最高裁判事になる人は、同期の中で1人という確率です。
 裁判官枠が6人あり、高等裁判所長官を経て平均6年勤務するとすると、同期の中で最高裁判所判事になれる裁判官は1人しかいません。
 刑事畑の裁判官が、ちょうど2倍有利です。民事畑、刑事畑が人数で2対1、最高裁判事は民事畑、刑事畑が各3人ずつですから。

 つまり、判事補として任官し、高等裁判所長官を経由して、最高裁判所判事になれるのは、同期のトップのみ、また、同期のトップさえも危ないということになります。

 おそらく、学者枠で最高裁判事になった岡部喜代子氏のまわり、具体的に仕事をするのは他の裁判官と調査官でしょうが、調査官からすると、「自分より」「質の落ちる」「裁判官経験のある裁判官」という見方をする人が多いのではないでしょうか。
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